【第4章】才能の功罪
【第4章】才能の功罪
すっかり子ども達に懐かれてしまった事もあって。
ここに慣れるまでの間、住む場所と食事を提供する代わりに、仕事を少し手伝って欲しい、という提案を有り難く受けさせてもらった。
仕事と言っても3日に一度、街外れの港へ行って商品の積み下ろしをする簡単な仕事だ。
その為、俺は有り余る時間を街の散策に使った。
それこそ、夢にまで見た街並みに俺は興奮していた。
石畳の道。煉瓦造りの街並み。
所々に置かれた、何に使うのか分からない大樽。
そして道を行き交う人々は、ゲームのキャラクターのように多種多様だった。
エルフや、ドワーフや獣人なんかも普通に歩いている。
俺は色んな種族、街並み、珍しい物など、ありとあらゆる異世界らしさの際立つものをスケッチして回った。
そんなある日——。
「キャーー!」
どこからか女性の悲鳴が聞こえた。
声の方を見ると髭面で、40代くらいの男が女性から奪った鞄を持って、俺の横を走り去って行った。
俺は突然の事に驚き、身動きすら出来なかった。
その後、女性の元に役人やら目撃者等が集まってきたが、もちろん防犯カメラなど無い異世界で目撃情報だけで犯人を特定するのが難しいとの事だった。
「クソ…こんなに目撃者がいるのに誰か分からないなんて…」
役人が口惜しそうに呟いた。
「あの…俺犯人の顔覚えてます」
俺は周囲の様子を見ながら、勇気を出して役人へ言った。
「それはそうなんだが、その犯人の顔が分からないから困ってるんだよ」
「あの…俺逃げた男の顔、描けますけど…」
「いや、だから………えっ?君犯人の似顔絵描けるの?」
「はい、やってみます!」
俺は迷いなく、鉛筆を走らせ、男の顔を描いた。
数分後——。
「こ、この顔は!」
俺が描いた似顔絵を見た役人達が何やら騒ついている。
「コイツはこの街の裏社会を仕切っている盗賊団の一員だ」
「でも、コレでヤツを捕まえる事が出来る」
「捜査を手伝ってくれて有難う」
俺の絵はまた、誰かの役にたったみたいだ。
俺は今日あった事をパトリックさんや子ども達に話そうと意気揚々と家の扉を開いた。
——ガチャリ。
「……」
俺は目の前の光景に声が出せなかった。
パトリックさんと子ども達が縄で縛られ捕まっていた。
パトリックさんの顔には傷があり、子ども達は恐怖で震えていた。
そして、パトリックさん達を縄で縛ったであろう男が振り向きざまに言った。
「おぉ〜お前か、俺の似顔絵描いてチクった奴は」




