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【第2章】異世界

【第2章】異世界

「…えっ?……」

俺は辺りを見回した。

何度も、何度も…。

まったく意味が分からない。

さっきまで街中の遊歩道を歩いていたはず…。

スマホを見たが、何故か電源がつかない。

俺は、訳もわからないまま…そのまま適当に歩き出した。

いや、歩くほか無かった。

周りを見渡しても、360度全て森だった。

まだ陽は高いが、何時かも分からない。

こんな鬱蒼とした森の中で一晩を過ごす事になるのは絶対にごめんだった。

体感で2〜3時間程だろうか。

いや、もっと歩いていたかも知れない。

ようやく道に出た。

道といってもアスファルトなどではなく、土が剥き出しの道路。

とりあえず、森を出られた事に少しホッとしたのも束の間、今度は右、左…どちらに行くかの選択を迫られた。

何度左右を確認しても、何処へ行きつくのか、見当もつかない。

途方に暮れて、俺は力無くそのまま座り込んでしまった。

どのくらい、ボーッとしていただろう。

近くで、馬?の足音だろうか、リズミカルに軽妙な音が聞こえる。

音の方を見ると、50m程先に馬車が見えた。

お爺さんが御者をしている、幌つきの馬車がこちらにゆっくりと近づいてくるのが分かる。

「助けて…」

俺は無意識に立ち上がり、助けを呼ぶように手を挙げた。

馬車は俺の前で停まり、お爺さんが馬車から降りてきてくれた。

西洋風の服装を身に纏ったそのお爺さんは外国人の様な見た目をしていた。

「助けてください、気付いたらここにいて…ここが何処かも分からなくて…」

——俺の話す事にお爺さんが何か言ってくれているが、残念ながらお爺さんが何を言っているのか分からなかった。

すると、お爺さんが俺のおでこ辺りに手をかざした。

そして、何かを呟いてその手を胸の辺りまでゆっくりと下ろした。

気のせいかもしれないが、少しお爺さんの手が白っぽく薄い緑に光った気がした。

「よぉし、これで私の言う事がわかるかな?」

お爺さんが俺に話しかけた。

さっきまで外国語を喋っていたお爺さんの言っている事が何故か分かる。

「え?……分かります…俺の言う事も分かるんですか?」

「うん、うん、分かるぞ」

お爺さんは微笑みながら、優しく俺の肩にポンポンっと手を当てて応えてくれた。

お爺さんは、俺を隣に座らせて、手綱で馬に合図をした。

道中お爺さんは、俺にさっき言葉が理解出来る魔法をかけた事を教えてくれた。

魔法……。

まぁ、普通はとても信じられない話だが、突然俺が今森にいる事実、光る手、そんな事が俺の疑いを少しずつ消した。

それから、馬車に揺られること数時間。

辺りもすっかり暗くなった頃、俺は街に着いた。

そこには大きな砦が聳え、街を囲うように堀と石壁が続いていた。

その石壁の中に広がる街並みは、まるで中世ヨーロッパのようだった。

凄く既視感のあるこの光景…もちろん仕事中での話だが…。

転移に…魔法に…中世ヨーロッパ時代の建物…。


間違いない。

俺はいわゆる【異世界】…へ来てしまったらしい。


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