本当にこの世界には存在しないのだな
買取店を出たあと、ソウシはそのままレンを池袋駅東口前のドン・キホーテへ連れていった。
換金に成功したことで、当面の生活に使える現金はできた。なら次に必要なのは、この世界で生活するための最低限の持ち物だ。
派手な看板を見上げ、レンが足を止める。
「ここは……あの英雄の名前を冠した商店か」
「ドンキね」
入口を指す。
「さっきのお金で、当面必要な着替えとか揃えるから」
「この国に合った装備を誂えるのだな。心得た」
「……まあ、そんな感じ」
二人は店内へ入った。
◇
入った瞬間だった。
「う……」
隣から苦しげな声がした。
レンが額へ手を当てている。
「どうしたの?」
「うう……なんだ、ここは……」
棚を埋め尽くす無数の商品。
色も、大きさも、字体も違う値札。
棚から飛び出すように掲げられた説明書き。
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視線を少し動かすだけで、新しい言葉が次々と目へ入ってくる。
さらに頭上からは店内放送。
どこからか流れる音楽。
売り場のあちこちから響く電子音。
そして、商品や広告の隙間からこちらを見ている、面妖な鳥の絵。
レンは眉間を押さえたまま、その場に立ち尽くしていた。
「翻訳魔法が……処理できる情報量を超えているようだ……」
「え?」
「うう…放送もだ。意味のある言葉が、あまりにも多く一度に入ってくる」
昨日、池袋の繁華街を歩いたときにも頭痛はあった。
だが、ここはそれ以上だった。
目を向ける先々に文字がある。
耳へ入ってくる音にも言葉が混ざる。
翻訳魔法は、それらを律儀に意味ある情報へ置き換え続けているらしい。
レンは大きく息を吐いた。
「ソウシ、すまんが一旦、術を切らせてもらう」
「うん」
「必要なら声をかけてくれ」
「ふーん」
ソウシは深刻には受け取らなかった。
「まあ、静かにしてくれるなら、その方がいいよ」
レンが少しだけ微妙な顔をした気がしたが、翻訳魔法を解除する。
耳元へ手を添えた、その直後。
レンの表情からわずかに力が抜けた。
店内は相変わらず騒がしい。
音楽も、放送も、電子音も消えていない。
それでもレンにとっては、そのすべてから〝意味〟が消えた。
何方向からも同時に語りかけられていたような圧迫感がなくなり、ようやく呼吸がしやすくなったらしい。
ソウシはそんなレンを横目に、自分の仕事を始めた。
「えーっと……まず、金入れるものがないな」
財布を一つ手に取り、買い物カゴへ入れる。
「財布、と」
レンは黙ってその様子を見る。
言葉が通じないので、説明しても仕方がない。
ソウシはそのまま売り場を進んだ。
「下着、靴下、タオル……」
カゴへ放り込む。
「Tシャツとパンツ、ベルト、パーカー、小さめのバッグ……」
黒や濃いグレー。
派手な色は避ける。
合わせ方を考える必要もなく、本人も目立ちにくい。
選んでいるうち、自然とソウシ自身の服に近い色ばかりになっていた。
ふと、シャンプーやボディソープが並ぶ棚の前で足が止まる。
「この間の魔法あるから、シャンプーとかボディソープはいらないのか……」
昨夜、レンが使った清浄魔法を思い出す。
身体も髪も、服も装備も、まとめて綺麗になっていた。
隣の棚を見る。
「歯ブラシとかは……いるのかな」
清浄魔法で口の中までどうにかなるのかは知らない。聞こうにも今は翻訳魔法を切っている。
「まあ、とりあえず買っとくか」
歯ブラシと歯磨き粉もカゴへ入れた。
意味が分からないままこちらを見ているレンへ、ソウシは歯ブラシを持ってみせる。
歯を磨く仕草。
レンが「ああ」とでも言いたげに頷いた。
服なら、自分の胸へ当てる。
ベルトなら腰を指す。
靴下なら足元。
バッグなら肩へ掛ける仕草。
レンは首を傾げることもあったが、ソウシの動きをよく観察し、だいたいの用途は理解しているようだった。
下着や衣服については、レンの身体へ商品を当てながらサイズを確認する。
言葉は通じない。
それでも買い物は意外なほど進んだ。
魔王と戦ったという冒険者へ、ジェスチャーでパンツや歯ブラシの用途を説明している。
冷静に考えると相当に奇妙な光景だったが、ソウシにはもう突っ込む余力もなかった。
「あ」
ふとレンの足元を見て、ソウシは思い出した。
「靴もだ」
朝から貸しているソウシの靴は、レンには少し窮屈そうだった。
さすがにこれをずっと履かせるわけにはいかない。
靴売り場へ移動し、ソウシは棚を眺めた。
そこで、紐のないスリッポンタイプのスニーカーを手に取る。
靴紐の結び方から教えるのは面倒だった。
これなら履くだけでいい。
レンへ差し出す。
しかし。
「…………」
レンは受け取った靴を、なんとも言えない顔で見つめた。
「何。気に入らない?」
レンが耳元へ手を添える。
再び翻訳魔法がつながった。
「そうではないのだが……」
レンはスニーカーを裏返し、靴底を指で押した。
「ソウシ。今借りている靴もそうだが、このように薄く軽い靴では、岩場や荒野を歩くには不安がある」
「……岩場?」
「地面に鋭いものがあれば、踏み抜く可能性もある」
レンは本気だった。
「幾分、心許ない」
そして周囲の棚を見回す。
「底の厚い、革製のブーツはないのか?」
「池袋で何を踏み抜くつもりなんだよ……」
「大丈夫だって」
ソウシはため息交じりに言った。
「この国じゃ、舗装されてない荒野なんて、よっぽどの物好きじゃなきゃ行かないから」
「しかし――」
「厚くて重い靴も、ないことはないよ」
ソウシは面倒になって先回りした。
「本当に必要になったら、その時買えばいいじゃん」
「む……」
レンは手の中のスニーカーをもう一度見た。
軽い。
柔らかい。
防具として見れば、どうにも頼りない。
「そうか」
完全に納得したわけではなさそうだが、ひとまず受け入れた。
ソウシはスニーカーをカゴへ入れる。
ようやく一通り揃った。
「あとは会計だから、翻訳アプリ……」
口に出してから、一瞬止まる。
「じゃなくて、翻訳魔法つけたままにしといて」
「承知した」
◇
二人は一階のレジへ向かった。
その途中。ソウシの視界へ、スマートフォン関連商品の売り場が入った。
ケース。充電器。ケーブル。
そして、その中に並ぶプリペイドのSIMカード。
ソウシの足が止まる。
「……そうだ」
家の物入れに、前に使っていたスマートフォンが残っていたはずだ。
機種変更してから、使わずに放置している。
レンには身分証明書がない。
だが、これを使えば――。
「これがあれば……」
一つ手に取り、そのまま買い物カゴへ放り込んだ。
レンが横から覗き込む。
「ソウシ、それはなんだ?」
「あとで説明するから。とりあえず買っといて」
「……?」
レンには、また用途不明の物が一つ増えた。
そのまま二人は会計の列へ並んだ。
ソウシはカゴの中を見る。
とりあえず、最低限必要そうな物は揃った。
――でも。
胸の奥で、また何かがじくじくと疼き始める。
これだけ揃えたところで。
こいつは、このあと一人で池袋で生きていけるのか?
ソウシは前に並ぶ客の背中を見ながら、考えた。
だって。
今からする会計だって、一人じゃできない。
物の買い方も分からない。
紙幣の種類も分からない。
地図もまともに使えない。
スマートフォンも、まだ持っていない。
この国の常識なんて、ほとんど何も知らない。
――中途半端に手を貸すくらいなら。
――最初から、何もしなければ良かったんじゃないか。
公園で声をかけなければ。コンビニへ連れていかなければ。
家へ入れなければ。
自分が助けなければ、もっときちんとした人間がレンを見つけたかもしれない。
もっと余裕があって。もっと頭が良くて。
もっとちゃんと、こういう人間を助けられる誰かが。
自分なんかより、ずっと――。
「お次のお客様、どうぞー」
「……あ、はい!」
突然呼ばれ、ソウシは我に返った。
慌ててレジへ進む。
レンも後ろからついてくる。
カゴを置くと、店員が商品を一つずつ取り出した。
ピッ。
ピッ。
ピッ。
小さな音とともに、商品が次々と処理されていく。
レンはその手元を、ひどく真剣な顔で見つめていた。
「あのバーコードで商品を識別してんの」
ソウシが小声で説明する。
「読み取ると、登録されてる値段が出る」
「ふむ……」
レンは読み取り機と画面を交互に見る。
「俺の知る言葉では、うまく訳せない仕組みのようだ」
「まあ、そうだろうね」
「本当に魔法ではないのか……?」
「魔法言うなって!」
思わず声を抑えて注意する。
さっき買取店で約束したばかりだ。
レンは「そうだった」とでも言いたげに口を閉じた。
やがて会計金額が表示される。
「ほら。ここに金額出るから、その分のお金出して」
「うむ。これだな」
レンは頷き、換金した紙幣の入った封筒を取り出した。
そして、そのまま全部出そうとする。
「ちょ、待って待って!」
「?」
「全財産出さなくていいから」
ソウシは表示された金額を指さし、次に紙幣を見る。
「まだどの札出せばいいか分かんなかったら、店員さんに聞けばいいよ」
「店員へ?」
「金額見せて、これで足りますかって」
レンは少し考え、頷いた。
「なるほど」
教えられた通り、必要な紙幣だけを取り出す。
店員へ差し出す。金を渡し。
商品を受け取る。
たったそれだけのことだった。
それでもレンにとっては、この世界で初めて、自分で得た金を使って自分の生活用品を買った瞬間だった。
◇
買い物を終えた二人は、東池袋のアパートへ戻った。
荷物を下ろすと、レンはさっそく購入した服へ着替える。
黒のフルジップパーカー。
濃いグレーのTシャツ。
黒のジーンズ。
ソウシは全身を見て、軽く頷いた。
「サイズ、ちょうど良さそうだね」
自分が選んだせいで、色合いも雰囲気も自分の服装にかなり近い。
もっと違うものを選べばよかったかとも思ったが、着てみればそれほど悪くなかった。
レンは細身ではあるが、服の上からでも分かる程度には身体が鍛えられている。姿勢もいい。
余計な装飾のないシンプルな服装が、かえって本人の顔立ちや体格を引き立てていた。
レンは腕を曲げる。肩を回す。
身体を軽く捻り、動きを確認する。
「随分、軽いな」
「そりゃ服だからね」
「肩当ても、胸当てもないのか」
「だから、誰も襲ってこないから大丈夫だって」
「冒険者稼業でやっていく以上、危険は避けられるものではない」
レンは真剣だった。
「今は手持ちが足りぬが、いずれこの世界に合ったものを揃えるとしよう」
「あぁ……はいはい」
ソウシは適当に流した。
そんなことより。
ソウシの頭は、買ってきたプリペイドSIMと、物入れの奥で眠っているはずの古いスマートフォンへ移っていた。
◇
ドン・キホーテから戻ると、ソウシは机の脇に置かれた物入れを探り始めた。
使っていないケーブル。
古い説明書。何に使っていたのか忘れた小物。
それらをかき分け、奥へ手を伸ばす。
「……あった」
引っ張り出したのは、一台の少し型の古いスマートフォンだった。
傷はある。使用感もある。
だが、使えないわけではない。
充電ケーブルを探し出し、端末へ差し込む。
続けて、先ほど購入したプリペイドSIMの説明書きを開いた。
細かい文字を追いながら、開通のための作業を始める。
レンは隣からその様子を眺めていた。
「ソウシ。それは?」
「これ?」
ソウシは古いスマートフォンを軽く持ち上げる。
「機種変する前に使ってたスマホ」
「以前のものか」
「そう。今日買ったSIMカード入れれば使えるようになるから、これ使えば」
レンが目を見開いた。
「その道具を?」
「ああ」
「俺が?」
「そうだけど」
先ほどソウシは、スマートフォンがこの国では生活に欠かせないと説明したばかりだ。
レンからすれば、そんな重要な道具を渡されるとは思っていなかったのだろう。
「今からざっくりだけど、使い方教えるから」
レンは少しの間、古い端末を見つめたあと、真面目に頷いた。
◇
一通り開通作業を済ませる。
ソウシは充電ケーブルを指した。
「まず、これは電気で動いてて、充電が必要だから、こうやって充電する」
「電気……充電……?」
レンが眉を寄せる。
「翻訳不能だ」
「うーん……」
ソウシは頭を掻いた。
日本で暮らしていれば、電気というものをわざわざ説明する機会などない。
存在して当たり前すぎて、何から説明すればいいのか分からなかった。
少し考える。
「例えばさ、魔力は使ってるうちになくなるだろ?」
「ああ」
「このスマホが動くために必要な力が、電力」
ソウシは壁のコンセントへ視線を移し、そこから伸びるケーブルを指で辿った。
「それが、この壁の穴から、この線を通じて補充されるってこと」
最後にスマートフォンを指す。
「それが充電」
レンはコンセントとケーブル、スマートフォンを順番に見た。
「なるほど……」
少し考えたあと、納得したように頷く。
「魔力を補充するようなものか」
「まあ、そんな感じでいいよ」
専門的には何か違うのだろうが、理解できればいい。
ソウシはコンセントを指す。
「この穴は色んなところにあるけど、使っていいところとダメなところがあるから注意ね」
「補充できる場所でありながら、使用できぬ場合もあるのか」
「人ん家とか店のを勝手に使うなってこと」
「ああ、なるほど」
ソウシは端末をレンへ手渡す。
「で、ここのボタンを長押ししてみて」
本体の右側を指す。
レンは端末を両手で持った。
剣を握っていた手には、古い傷や硬くなった皮膚が残っている。
だが指の動きは慎重で、細かな操作を怖がっているというより、壊さないよう丁寧に扱っているようだった。
「……こうか?」
電源ボタンを押し込む。
数秒。画面が明るくなる。
ブッ、と端末が短く震えた。
「おっ!」
レンの身体がわずかに跳ねた。
魔王と戦ったという男が、手の中の小さな機械の振動に驚いている。
画面へ浮かび上がった文字や図形を、レンは目を見開いて眺めた。
「動いたぞ」
「……はは」
ソウシは思わず小さく笑った。
「原始人相手にしてる気分だ……」
「何か言ったか?」
「……何でもないよ」
◇
その後。
ソウシは基本的な操作を一つずつ教えていった。
「一回軽く触るのがタップ」
レンが触れる。
「こうか」
「そう。で、指を滑らせるのがスワイプ」
画面が動く。
最初のうちは、レンも慎重だった。
必要以上にそっと画面を触ったり、指を離すタイミングを確かめたりしていた。
だが、一度やり方を見せれば、すぐに同じ動きを再現した。
文字入力も同じだった。
どこを触れば何が起きるのか。
操作と結果の関係が分かれば、次からは迷わない。
――思ってたより、全然覚えるの早いな。
ソウシは少し意外に思った。
異世界から来たから何も分からないだけで、頭が悪いわけではない。
むしろ覚えはかなりいい。
剣や魔法を扱う人間だからなのか、手先も器用だった。
これなら、つきっきりで何日も教える必要はなさそうだ。
その事実に、ソウシは内心少しだけ安心した。
「これは地図」
地図を画面へ表示する。
レンの目が、これまでよりわずかに鋭くなった。
「地図?」
「ここに『池袋駅』って入力してみて」
「こうか?」
「そう」
レンが覚えたばかりの操作で文字を入力する。
検索。画面が切り替わった。
現在地を示す印。
そして、そこから池袋駅まで続く道筋。
レンが画面へ顔を近づける。
「……これは」
「ここが今いる場所」
ソウシは画面を指した。
「で、こっちが池袋駅」
もう一方を指す。
「ここから池袋駅までの道が表示されてる」
レンは無言でルートを目で追った。
「この国には住所とか番地っていうのがあって、正式な住所を入れれば、かなり正確に指定した場所まで辿り着ける」
「そこまで細かく指定できるのか」
「うん。もちろん、『池袋駅』みたいなざっくりした名前でもいける」
レンは再び画面へ視線を落とした。
「現在地まで把握した上で、目的地への道を即座に示すのか……」
感心したように呟く。
「随分と優秀な地図だな」
「まあ、これさえあれば道に迷うことはかなり減るよ」
レンの反応は、電源を入れたときよりも明らかに大きかった。
冒険者にとって、地図は単なる便利な道具ではないのだろう。
現在地。目的地。そこへ至る道。
それを正確に知れることが、どれほど価値のあるものなのか。
レンの食い入るような目を見ていると、ソウシにもなんとなく分かった。
これなら、自分がいちいち駅まで案内しなくても済む。
ソウシにとってもありがたい機能だった。
「次は検索ね」
検索画面を開く。
「ここに、調べたいワードを入力する」
「調べたいものを?」
「そう」
ソウシは画面を指す。
「知りたいことがあったら、とりあえずここで探せば色々出てくるから」
「なるほど。やってみよう」
レンは頷いた。
覚えたばかりの操作で、ゆっくりと言葉を入力していく。
ソウシは何を書くのだろうと、何気なく画面を見ていた。
そして、表示された文字に、息を止めた。
『アルディア王国』
「…………あ」
レンが顔を上げる。
「これでよいのだな?」
ソウシは一瞬、返事ができなかった。
レンの顔を見る。
そこに強い期待が浮かんでいるわけではない。
ただ、「知りたいものを調べられる」と教わったから、自分が最も知りたいものを入力した。それだけなのだろう。
だからこそ、止められなかった。
「……うん」
レンが検索する。
画面が切り替わる。
二人とも黙って、その結果を見る。
似た名前。同じ名前。だが、違う。
表示されるのは、レンが知る国ではなかった。
小説。創作物。架空の世界。
そこに登場する、実在しない王国。
レンは指を動かさなかった。
画面をスクロールすることもなく、ただ最初に表示された検索結果を静かに見つめている。
ソウシは何も言えなかった。
これなら世界中の情報を探せる。
ほんの少し前、自分はそんなつもりで検索機能を教えた。
だが、その〝世界中〟のどこにも、レンが帰りたい場所はない。
昨日からレンは何度も言っていた。
異世界から来た。仲間を残してきた。
アルディア王国へ帰らなければならない。
ソウシも、それが嘘ではないのだと認め始めていた。
それでも。
スマートフォンの画面に何も出ないという、あまりにも無機質な形で事実を突きつけられると、その意味が急に重くなった。
レンはしばらく何も言わなかった。
やがて。
「……そうか」
小さく呟く。
声は、先ほどまでより少し低かった。
「本当に、この世界には存在しないのだな」
ソウシは口を開いた。
「……そうだね」
それ以上、二人とも何も言わなかった。




