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はじまりのはじまり 2

洋太郎(ようたろう)君聞いてる?」

由美(ゆみ)の声に僕は我に返った。日和の見舞いに行った一週間前から僕は、あの病気について考えていてボーーっとすることが多くなった。

「あぁ、ごめんごめん。都会に行ってみたいんだっけ?」

「うん。私この島から一度も出たことないから・・・」

「じゃぁ二人で抜け出してみる?」

「・・・・・」

由美の頬が赤くなっていく。

「あっ、電話だ。ちょっと待ってて。」

僕は嘘をついた。由美は何故か照れると泣く癖がある。泣かせたと思われたくないし、女の子が泣いてるところを見たらいけない気するから・・・

10分もすれば泣きやむだろう。その間、僕は大抵この島について考えていた。



僕は今高校二年になる。この島に来たのは小学四年の夏だった。そして最初に出会ったのが由美だった。由美はその時も泣いていた。理由は確か・・・海に麦わら帽子が流されてしまったからだ。夏休みの最中にこっちに来た僕にとっては、本当に初めてであった子だった。その時の僕はなにを思ったか由美に話しかけた。

「どうして泣いてるの。転んじゃったの?」

由美は首を横に振って海の方を指差した。麦わら帽子がきれいな青い海に浮いていた。

「ちょっと待ってて。絶対待っててね。」

僕は自分の家まで走って行った。水着を取りにいったんだ。そのとき交差点からものすごい勢いで自転車をこいで来た奴がいた。それが日和だった。見事に僕はひかれて2メートルくらい吹っ飛んだ。

「ごめんなさい。大丈夫ですか?」

日和は泣きそうな声で聞きながら僕に近寄ってきたんだ。



不意に首にものすごく冷たいものがあたった。

「うわっ!!」

「あははっ。ツメタソーー。」

首をおさえながら後ろを向くと日和と由美が立っていた。声の主は日和である。しかしキンキンに冷えた缶ジュースを首にあてたのはどうやら由美の様だ。

「洋太郎君ごめんね。ちょっと驚かせようと思っただけなの。」

「うーーーー。由美。許す。どうせ日和がやれって言ったんだろ。」

ユミがあっさりうなずいた。

「ヨウがいけない。こんなかわいい女の子を一人にしておくから天罰だ。」

私は胸を張って言ってやった。しかしヨウは反省するような動作をしなかった。

「洋太郎君なに考えてたの?」

ユミがヨウに缶ジュースを渡しながら尋ねた。おいおい、私の入りにくい空間を創らないでくれ。明らかに私は邪魔者じゃないか。

「ん・・・初めて由美に会った日のことを思い出してた。」

「あっ・・・」

ユミの顔が赤くなっていく。私がヨウに会ったのはブレーキが壊れたあの坂である。



思いっ切りハンドルを握っているのにブレーキはかからなかった。このまま交差点に入って車にひかれると思った。そんな私の前に現れたのがヨウだった。その時私は視界のなかのものすべてがスローに見えていたんだ。ヨウの走る顔も繊細におぼえている。汗だくになって走っていた。私がヨウにぶつかると、全く止まらなかった自転車は止まったんだ。奇跡が起きたと思った。

「イテテ・・・大丈夫だよ。君も大丈夫?」

頭から血を出しながらヨウは私の自転車のかごにたくさん入っていた花を見て

「それちょうだい。」

って私にほほ笑んだね。

僕は日和を後ろに乗せて走った。日和が腰をつかんだのがくすぐったくて何度も転びそうになったんだ。由美がいる浜辺に着くと

「ユミちゃーーん。どうしたのーーー。」

って叫ぶんだ。びっくりしたよ。後耳も痛かった。僕は自転車から降りたらすぐに由美の方に花を持って走った。



「まさかあそこから花の王冠を作るなんて思わなかったーー。私もほしーーって思ったなーー。」

「洋太郎君・・・ありがとうね。」

「まぁ。結局由美は俺見て泣いたけどな。」

「・・・ごめんなさい。」

「うっ・・・いいよ。由美のせいじゃないし。」

僕は顔をあわせられなかった。今思うと・・・ものすごく恥ずかしい。ここから逃げ出したい。

「あれぇ。ようたろうくーーん。恥ずかしいの?」

「うっ・・・・・ウルセーー。だいたいな、お前が」

「なによ?えっ?言ってごらんよ。」

「なんでもないです。」

僕は口ゲンカは弱い。平和サイコーー!!

「ならいい。じゃぁ私は家帰んないと。」

「つーかなんでここにいたの?」

「診断の結果もらいに行ってた。健康健康」

僕は思った。日和は自分の病気を知っているのか?バタッ・・・日和が何もないところで転んだ。

「!!日和ちゃん」

私は自分の足に違和感を感じながら立ちあがった。そして二人に健康診断の結果を見せて言った。

「立ちくらみには気をつけなよ。バスで帰ろう。まだやってるかなーー。」

私は二人に手を振り溜息をついた。健康なんでしょ?ちゃんとしてよ。そのまま私は歩いていく。足首が全く回らなくなっていた。捻挫?折れた?とにかく私は歩いた。



もうすぐ夏が終わる。日和の病気は本物だ。歩き方が変だ。僕は得体のしれない恐怖に怯えた。

まだ始まったばっかなんだろうけど・・・

僕はどうすればいい?日和にとって最善ってなんだ?

僕にはまだわからないことばかりだったんだ。

はじまりのはじまり終了。

がんばる

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