36.ついに出てきた埋蔵金
土はそれほど固くはなかったが、掘っても掘っても、粘土質の土しか出てこない。
人の歩幅の違いもあるだろうから、多少の誤差が考えられる。なので、篠崎は少し位置をずらしてまた掘り進めた。
そうやって辺りを掘っていくものだから、穴が大きくなったり、新たな穴が出来た。
かれこれ15分ほど掘ってみたが、まだ土しか出てこない。ひたすら、汗が流れ落ちるので、ワイシャツがびっしょりだ。
菊川と曙橋に左右から見守られるのも、むずがゆい。篠崎が、『九段下と西大島が立ち会わなくて良かった』と思ったその時、スコップの先に土以外の硬い感触を感じた。
「ん? なんかあるぞ」
慎重に掘っていくと、硬い物の正体が見えてきた。
それは、茶色い陶器製の壺だった。高さは50センチメートルほどで、ずんぐりした胴体である。
篠崎は一気に疲れが吹き飛び、体は熱くても背筋に冷たい何かが走る。
「いよいよ、ご対面か!?」
こういうときに九段下と西大島が来てくれていればいいのに、遠くを見ても彼らの姿はない。
「中を開けるよ」
篠崎の言葉に、菊川も曙橋も緊張の面持ちで頷く。
慎重に陶器製の蓋を回し、ゆっくりとそれを取る。すると、中に金色に光る物がいくつも見えた。
「マジでか! 埋蔵金だぜ!」
篠崎がそのうちの一枚を手に取ると、大型の金貨だった。
彼の手のひらに乗った金貨を覗き込んだ曙橋が顔を上げた。
「これ、明治三年の二十圓金貨。夏目漱石の『坊ちゃん』の主人公は月給四十圓」
「ピンとこないけど、結構高いんだよな?」
「カタログ価格では1枚350万から2000万くらいするコインだから、ベタベタ触らない方がいい」
「ゲッ! 高級車が手のひらに……」
そっと金貨を戻した篠崎がズボンで手を拭いた。
「なに、汚いものを触ったかのように」
「拭いてから気づいたよ、やることが逆だって」
そう言って篠崎が苦笑した。
「あとでハンカチでキレイに拭くか。それにしてもいったい何枚あるんだ、この金貨」
彼は壺の中を覗き込む。
「……おい、金貨の下に紙が見える」
彼は、壺の底に右手を突っ込んで紙切れを取り出した。




