35.宝探し
「ねえ。トリックは?」
菊川は曙橋と肩を並べて歩きながら、どうやってキツネの石像を動かすのか気になって仕方ないようだ。篠崎は、背後から聞こえてくる会話に耳を澄まし、頼られていない自分を認識する。
「自分で考えなかったの?」
篠崎は、曙橋に菊川と同じことを訊いたらもっと冷たい答えを返すんだろうなと思った。
「考えたけど、わからなかった。答えを教えて」
「なら、ほら、見て。あそこの影を」
女同士、優しいなと羨ましがりながら、曙橋がどこを指差しているのか確認するため、篠崎は振り返った。
彼女はキツネを指差し、その指をゆっくり灯籠の方へ向けた。
まだまだ暑い陽気だが、日はかなり傾いているので、石像の長い影が伸びていた。
「あの影が伸びて、どこへ行っている?」
「あっ! キツネの影が灯籠にかかっている! それで『寄り添う』なのね!」
菊川は手を叩きながら小躍りして喜んだ。
「菊川さん。あの屋根の影の所まで行くから、一緒に来て」
曙橋は、地面に落ちた祠の影のうち、屋根の部分を目指し、菊川の手を引いて歩く。
「ここで立っていて」
「はーい」
屋根の影の上に立つ菊川は、確かに稲荷の屋根に乗っているみたいだ。
そこから曙橋自身が、太陽の位置と時計の針で北を探して体を向け、右手方向に七歩、左手方向に八歩、右手方向に四歩歩いた。
「篠崎。ここ掘って」
「はいはい。ここ掘れ、ワンワンかよ」
曙橋の指差す地面に、篠崎がスコップの先を突き刺した。




