31/38
31.暗号解読(その4)
「弓手は昔の左手のこと、馬手は右手のこと」
曙橋の言葉に篠崎も菊川もキョトンとするが、九段下は大きく頷いた。
「お嬢ちゃん、ずいぶん古い言葉を知っているねぇ。その通り、おじさんが生まれるより遙か昔の言葉だけど、弓をもつ左手を『弓手』、馬の手綱を引く右手を『馬手』と言っていてね」
「じゃあ、『ななほゆんで』は『七歩左手』のこと?」とは菊川。
「『はちほまて』は『八歩右手』ってこと?」とは篠崎。
しかし、曙橋は「ちょっと待って」と二人を制した。
二人が読んだ部分は、下の暗号で左端の縦方向1列と一番下の横方向の1行だ。
-----------------------
なてまきむたれ
なふそりよきほ
ほとねつにれた
ゆきがきうのし
んいとうろにの
でなりのやねほ
はちほまてよん
-----------------------
部屋が静まり返る中、二人が読んだ文字とその周辺を何度も確認した曙橋がボソッとつぶやいた。
「わかった。この暗号文の読み方」




