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ラストダンジョンに登場する雑魚モンスター『ヘルライダー』になっていた。魔王のお手伝いをすることになった  作者: 愛原ひかな
第2章

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舞踏会に参加するには

 

「なにあれ?」


「……仮装パーティーにでも出席するつもりなのか?」


 ホテルの通路を歩き始めて早々、冷ややかな声が何度も聞こえてくる。

 一瞬だけ大杉を注目する他の客なんて、当たり前のようにいた。


 ただ、それだけである。


 大杉のことを一風変わった通りすがりの人としか思われていないらしくて、特に言及されることもなかった。


「お客様は、今夜の舞踏会に出席されるのですか?」


 白髪の妖精が振り向きながら、大杉に訪ねてきた。


「舞踏会は、そういうご縁があればだが……今のところは……」


 簡潔に述べるなら、宛がない。

 少なくとも、ヨミルに相談するまでは舞踏会の開催地の探しようがないと大杉は判断していた。


「やっぱりそうですよね、入るには五つの風の噂が必要ですもの」


「風の噂……?」


「風の噂を知らぬ者は舞踏会に入るべからず……とまで言われておりますが、お客様をみていると不思議な感覚がします。なので、わたしが知っているひとつめを教え致しましょう」


 悪戯心を顔に出す白髪の妖精は、自身の口元に人差し指を立てた。


「最初の入り口は、博物館の立て看板の裏手にある。解きたくば、点字表を出せ」


 その言葉は、大杉に何か行動を促すような指令のように思えた。


「まずは博物館へ行けってことか。場所は……まぁ、頑張って探してみるしかないか」


「ヒュドも手助けするつもりデスよ。ただ主様に確認を取ってからデスね」


「まぁ、そうだな。ヨミルと……連絡を取る手段はあるのか?」


「心配なさらずに。ヒュドの手元にあるマジックアイテムを使えば、それは可能デスので!」


 ヒュドラトは鼻息を漏らす。

 よほどの自信があるのか、胸を張っていた。



「……お客様のルームは、こちらになります」


 白髪の妖精が足を止めると、薄い紫色をしたドアが目に留まる。

 ドアはやや透明であり、その先に続く狭めの通路が見えていた。


「ここに入れば良いのか」

「お部屋はこの先にあります。お部屋の外周が、精霊界となっておりますので……」

「なるほど。寝泊まりする部屋の外が、精霊界か」


 大杉は静かに息を呑む。

 通路の先は暗黒しかない。


 その先に部屋があると分かっていても、ひとりで行くのはやはり怖いと思ってしまうのが現状だった。


「では、ヒュドが先に行くのデス」


 ヒュドラトは何のためらいもなく、踏み入れた。

 すると、ヒュドラトの姿が一瞬で消えた。


 ドアではなく、結界だ。


 まるでワープしたかのようだった。


「……俺も行くか」


 にこやかそうに見守る背中にして、大杉はヒュドラトの後に続く。


 大杉の右足が薄い紫色の結界に瞬間、ほんの一瞬だけ視界が真っ白になる。

 その後、シングルベッドが二つあって寝泊まりすることのできる洋風な部屋にいた。


 やはりワープだった。

 大杉は、まだまだワープには慣れていないのである。


「わーい。ふかふかなのデス!」


 シングルベッドのうち、ひとつに向かってダイブしていたヒュドラトは両足をばたつかせる。


「ヒュドラトさん、ヨミルには報告しないのか?」


「あっ、そうでしたね……」


 ヒュドラトは、大杉と対面になるように体制を変える。


「魔王城への連絡手段はこれです。レッドマターという魔道具があるのデスよ」


 両手を出したヒュドラトが持っていたのは、手のひらサイズの赤い水晶だった。

 それをくるっと半周ほど縦に回すと、大杉とヒュドラトの間に透明度の高い赤い球体が浮かび上がってきた。


「ようやく繋がったわね。……二日ぶりかしら?」


 ヨミルの顔が、赤い球体いっぱいいっぱいに映り込んでいた。


 大杉は頷く。

 これで魔王城にいるヨミルとやり取りができる。


「ヨミル、俺がこの世界に召喚されて何日くらい経ってる?」


「三日かしら?」

「三日か。それってつまり……」


 大杉は真実を知って顔が固まる。

 もしヨミルの言った通りなら、大杉とヒュドラトは馬車で二日ほど眠っていたということに……。


お読みいただき、ありがとうございます。

面白いと思いましたら、感想やブックマークをよろしくお願いします。

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