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三匹のおネエ ~おネエ達の異世界生活~  作者: ジェード
第Ⅱ章 人里に出た三匹
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039 透明人間現る

暑いですねぇ。

 ガサゴソガサゴソ。



 草の中を掻き分けながら近付く私。


 パトラッシュが見つけたという下流の村から距離をとりながら鑑定で遠視すると、早速第一村人A発見!見た目は白人っぽいわね。年頃は40代くらいかしら。服装は草木染っぽいのがメインで、ベージュの上下に草色のチュニックを着ているわね。ズボンや袖に継ぎがしてあるのも見えるわ。足元は木靴かしらねぇ。

 ……こうしてみると、随分貧しそうなことは分かるけれど、これがこの世界のスタンダードなのか、この人が特別貧しいのかは判断が付かないわね。



 あ、第二村人が出てきたわ。



 今度も男ね。

 年齢はもう少し若い感じかしら。それでも30代は行ってそうだけれど、これだけ貧しいなら、もしかしたら10歳くらい若いってことも有り得るのかしら。……白人って老けるの早いものね。この人の服装も色が茶系な以外は同じような感じね。ただ、髪がピンク色って所が異世界を感じるけれど。



 え? 私が何をしているかですって?



 ……私は調査をしているのよ。

 この世界の住人がどんな格好をしているのかっていう。


 服装が分からなかったら悪目立ちしちゃうでしょう?

 だから予め作ってはいたけれど、しっかりと調査をして無難な感じに合わせようと考えたのよ。それには作る職人である私が実際にこの目で確かめて見ないとダメでしょう?

 結論から言えば、私の作った服で問題は無さそうなんだけれど、木靴を履いている人々を見るに、革靴はちょっと上等な印象を与えるんじゃないかしら。

 そこら辺をどう考えるかが一つのポイントになるのかしらねぇ。

 まぁ、長旅をする人というものは、それなりの格好をするものだと思うから、彼らみたいに定住している人々と同じ基準で考えると違うとは思うけれど。


 でもまぁ、服装で困ることは無さそうね。

 それより問題が有るとしたら言葉よ。


 この世界の言葉を学習しないといけないのよ。

 で、それをどうしたら良いものかって事なんだけれど、現状全くアイディアはございませーん。……だって、どうとっかかりを付けて良いか分からないじゃない?

 唐突に現れた異邦人に言葉を教えてくれる様な親切な人々かどうかも、そもそも言葉が分からなけりゃ知りようが無いのよ。


 うーん、どうしたものかしら~。

 語学ってスキル無いのかなぁ~。


 とりあえず、バレずに近付く方法を考えようか。

 さて、キョーコさん、いつもの様に考えるお時間ですよ。


 私の姿を隠す方法だけれど、光学迷彩的なアレが出来ないかしら。

 某ロボットアニメに出てきた奴でも良いし、某近未来サイバーアクションアニメに出てきた奴でも良いし、兎に角光学的に変化するアレよね。

 方法としてはのっぺりとしたタイツ風の服にして、光学的変化を与える。具体的には光を回折して透過したように見せるという方法と、背後の映像を表示して擬態する方法と有ると思うけれど、この場合だと前者になるのかしら。でも、ネックになるのは現代の地球ですら光学迷彩は実現できていないということね。

 グラフェンやカーボンナノチューブは素材が既に存在しているけれど、光学迷彩はSFの産物でしかない。そこら辺を考えると私達の世界で技術的に不可能に近いものは実現出来ないかもしれない。では、別の方法が有るか。


 答えはある。


 この世界には魔法というものが有って、光の魔法であれば光を回折したりといった光学現象を起こすことが可能だと思われるわ。なら、光魔法で姿を透過する方法を確立出来れば良いってことになるわね。


 というわけで、実験よ。


 魔力をキョーベンに集中して、光学的に透過する防御幕を全身に張る様にイメージするわ。それは薄皮一枚みたいな薄い層なのだけれど、その膜に覆われることで周囲の光を回折して透過させる。キョーベンから流れ出した魔力が螺旋状に回転して全身を包み込み、薄く引き伸ばされる様に張り巡らされる。すると、ゆっくり全身の姿が透け始めたわ。そして、五分程で完全に透過したの。



「わぉ、……出来たわ」



 スキルレベルが上がりました。

 光属性 Lv,5 → 6



 私は全身を見渡したわ。どこも完璧に姿が消えている。

 ガレージから鏡を出して見てみたけれどバッチリ。

 面白いことに、私が触れた物には透過の被膜が備わるみたいね。これが夢の透明人間って奴じゃないかしら。

 透明人間と聞くと、色々と夢の様なアレやコレがあるじゃない。


 ウフフ、ウフフフ。


 とはいえ、何の検証も無しに行くほど愚かなキョーコさんじゃないわよ。

 この魔法は私の魔力を薄く出力することで維持されている。

 魔力消費自体はとても低いけれど常に出力していないと維持出来ない。逆を言えば出力を切った時点で元に戻ったわ。


 例えばだけれど、魔石に私の魔力を込めておいてバックアップとして魔力を出力するようにしておけば、私が何らかの事態に巻き込まれても透過を維持できるかもしれないわね。勿論、透過しているだけだから私の体に触れようと思えば触れることは出来る。そこを考えて行動しないとバレちゃうかしら。


 試しに少し歩いてみたんだけれど、歩く音がしちゃうことに気付いたのよ。これ、砂利道みたいなところだった場合は目立つわよね。……というわけで音を消す方法を考えたわ。

 音といえば音波だから、音波を遮蔽するには空気の振動を伝えないように周囲に空気の幕を作って遮蔽するか、同じ波長を相殺する周波数を発生させられれば良いかなとやってみたの。

 結論から言えば成功。

 同じ音の波長で掻き消すノイズキャンセラーの原理で音を相殺してしまえば無音よ。


 うっほほーーい。

 これで私は晴れて透明人間よーーー!


 というわけで、早速村の方へ歩いて行ったわ。

 村に近付くにつれて畑っぽいのが見えて来たけれど、畑というよりは原野より草が抜かれている程度の雑多な印象のある畑かしら。あの日本の農家の綺麗に整備された田畑を見ている私からするとそんな印象ね。

 野良仕事をしている人達の体は痩せていて、とても豊かそうには見えないけれど、頑張って働いていることは間違いないわね。

 村は木で作られた掘っ立て小屋の様な家が沢山並んでいるわね。地面は土がむき出しで綺麗とは言い難いし、何より……汚物臭い。


 これは酷い!


 いや、中世とかのヨーロッパって臭いって聞いていたけれど、マジで臭い。何なの!?

 この人達、普通にそこらに汚物撒いているのね、これ。道理で臭いわ。もしかして、パトラッシュの言っていた臭いって、この事?

 鼻が曲がりそうだから、風のフィルタで匂いをシャットアウトするように工夫したわ。



 スキルレベルが上がりました。

 風属性 Lv,6 → 7



 うわ、汚物臭の処理をしたらレベルが上がったわ。……スキルさんも辛いのね。

 とりあえず、匂いをフィルタリングしてしまえば気にならないとはいえ、この世界ってどこも似たようなものなのかしら。


 ま、それはそれとして、レッツ透明ライフ!


 私は見えないことを良いことに、村中を探索して回ったわ。

 家の中に入っても誰も気付かないし、物を手に取っても浮いたりしないからバレない。


 勿論盗みとかはしないわよ。

 そもそも欲しい物も無いし。


 家の中で人の行動を見たりするんだけれど、予想通り全く何を言っているのか分からない。でも、聞いているうちに同じものに対して連呼されているものは、そういう名前なのだろうというのは分かったわ。

 まぁ、一日目だし、さらっと全体を見て回ったの。


 村の年代の人口比は鋭い二等辺三角って感じかしら。

 若年層の方が多いのは多産なんでしょうけれど、生んだ半分は病気やケガで亡くなって天寿を全うできないんでしょうね。若者は野良仕事に出ているか、製材しているか、狩猟に出ているかで、家屋では女子供が内職をしている様な感じかしら。

 日本の貧しい時代に見られたような子供達だけの集まりで、年長の子供を中心に面倒が見られていたりといったものもあったわね。

 顔立ちは白人系だから割と綺麗目な顔をしているかしら。

 そこそこイケメンな子は目の保養にさせて貰ったのは言うまでも無いわ。

 え、どんなことをしたのって? ……嫌ねぇ、別にただ見ていただけよ。


 あ、ごめんなさい。

 耳に息を吹きかけたりしたわ。


 その日は日が暮れる手前には帰ったわ。

 帰った私はパトラッシュに匂いの理由を尋ねたの。


 そうしたら、やっぱり。


 匂い対策については、風魔法フィルタをパトラッシュにも掛けてあげることにしたら喜んでくれたわ。

 私は今後の方針として、暫く村に通って人々の生活を見る中で言葉を聞いて覚えることを話したの。


 明日からは語学学習の始まりよ!

透明人間になりました。

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