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016 考察

 私はパトラッシュと一緒に滝壺に来ていたわ。

 昨日川底に手を突っ込んだ時に、砂がキラキラしていたのを思い出していたの。

 川砂って水の流れで砕かれた岩とかで出来ているわよね。

 ということは、色々な素材が取れるんではないかと睨んでみたのよ。


 かくして私は冷たい水の中に手を突っ込んで実験してみたわ。



「うひぃ~~~、つめった!」



 流石雪解け水はやばいわ。こんなんに浸かってたらあっという間に手の感覚無くすわね。

 でも、我慢してしっかりと欲しいものを思い浮かべたわ。


 そうしたら、ビンゴよ!


 川の砂からは石英をレンガ3個分くらい纏めることが出来たわ。

 他に石灰や鉄も豆腐一丁くらい取り出せたし、チタンもビー玉サイズを取り出せたの。

 ちなみに試しに精霊銀やミスリルも集めてみたら、卵サイズくらい取れてびっくり。

 ここはもしかしたら、そういう魔法銀の産出地なのかもしれないわね。


 あと、これは本当に出来心よ? 出来心。

 試しに金の収集もしてみたら……有ったのよ。

 大きさにするとチョコボール一個くらいのサイズなんだけど、ここ一か所でこれだけ埋まっているって凄くない? 川を漁りまくったら目指せ延べ棒も夢ってほどじゃないわよね?


 ……ここに文字通り(?)の錬金術が完成してしまったのよ。


 まぁ、この際だからとニッケルや錫とか使いそうな金属はどんどん収集とばかりに集めたわ。

 そして家に帰ってからは、早速アレを作ったの。






「あら、キョーコちゃん、今度は何を持ってきたのよ~?」



 帰ってみたら、一階の新たに出来たガリ作の囲いの中で、食物の整理をしていたケリーが一休みして私の持つ荷物の入った籠を見たわ。

 前回作ったトレーっぽい蓋つきの陶器の籠にヒンジと金具を付けてふたが開かないようにしたものなんだけど、この中に色々と入れてきたの。

 大きさとしては四角いトラベルバッグっぽいかしら。

 蓋を開けて中を見せたら、透き通ったレンガが三つに黒い鉄や白い石灰にその他細かい塊が色々あるのが見える感じ。

 ケリーが真っ先に触れたのは透明なレンガね。



「これは何~?」

「石英の塊。平たく言えばガラスの塊だし、ゴージャスに言えば水晶よぉ」

「まぁ、水晶の塊~?どこで見つけて来たのよ~」

「あそこの滝つぼ辺りの川底を漁ってみたら色々取れたの。これなんて見て見て!金よ金!」

「え、偽物とかじゃないんでしょ~?」

「本物に決まってるじゃないの。錬金術というよりはただ集めただけだけど、一応錬金した様なもんでしょ? 凄いと思わない?」

「思う、思うよ~。でも、これで何を作るのよ~?」

「まずは窓よ」



 私はあらかじめ作った木の定規を使って、ガリの作った窓枠サイズを測っていたの。

 レンガを切り株テーブルに置いて手を当ててイメージすれば、はい完成!窓ガラスの出来上がり。

 薄く作ったからレンガ2個半で窓ガラス二枚を作れたわ。

 あっと言う間に出来た窓ガラスを見て、ケリーが感心して見ているわ。



「相変わらず便利な能力だよ~。良いなぁ~」

「便利とはいえ、材料を用意しないと大変なことには変わりないのよ」

「まぁ、そうでもだよ~」

「ケリーは何か欲しいものあるかしら」

「うーん、ポットが欲しいわ。耐熱ポット。ハーブティーが作れたら良いかなって思うのよ~」

「あら、良いわね。この半かけで折角だから耐熱ポットと耐熱カップを用意しようかしら」



 私はオールガラス製の耐熱ポットとティーカップを三つ思い浮かべたわ。

 耐熱で耐久性も高いというイメージで作ってみたんだけど、出来上がりの仕上がりは満足でも機能までは使ってみないと分からないのよねぇ。



「わぁ~、綺麗なポット~。なんて素敵なんでしょ~」



 そう言って目を輝かせてポットに触れるケリーをほほ笑みながら見る私。

 今回はカップソーサーにほんのりアメジストになるようイメージしているから、本当に美しいのよ。

 


「キョーコちゃん折角作ったんだから、ティータイムにしましょー? 特製のハーブティをご馳走するよ~」

「あら、良いわねぇ。お願いするわ」



 私が切り株に腰かけると、ケリーはいそいそと材料を用意しに行ったわ。

 私はポットを見つめながら、ハッと気が付いてポットを手に持って水ガメへ行き水を入れたわ。

 その後またテーブルに戻って座ってから、ポットを両手に持って水を熱湯に変えたの。

 これ、触れているうちに熱くなるから、途中で一度やめて持つ場所を蓋に変えた程よ。

 お湯を作り終えると、ケリーが茶葉っていうには色々とカラフルな花びらの入ったものを持ってきたの。



「あら、それお花?」

「そうよ~。鑑定で食べられるお花の中で、色や香りが良いのを選んで作ってみたのよ~。色は兎も角、味は想像を良い意味で裏切ってくれるわよ~」



 ケリーがとても醜悪な顔で言うから毒でも入っているのかしらと思いつつ、入れてくれるのを見ていたわ。

 ポットは中の注ぎ口の前に小さな穴が無数についている形状にしたから、茶葉を入れてもお湯だけが出てくる簡単設計よ。


 こういうのが欲しかったのよね~。

 現実世界で購入用と思ったら幾らになるか怖いわ~。


 ケリーの入れた茶花は、お湯の中で青や赤の色合いが出て、最終的に紫色に変色したわ。

 お茶が紫色ってだけで、なんだか理科の実験か何かを思い浮かべる怪しさがあるんだけれど、漂ってきた香りはほんのり甘いのよね。表現するなら南国の香りかしら?

 ケリーがそれぞれのカップに注いで出してくれたわ。

 私はしばしカップを顔に近づけて香りが漂うのを楽しむ。

 はぁ、これは意外にトロピカルなお茶だわ。

 確かに良い意味で香りは裏切ってくれるわね。

 しばし香りを楽しんでから一口飲む。



「……何これ、甘みがあるじゃない!?」

「そうなのよ~。ほんのり甘いの。でも、酸味もあるからさっぱりしているでしょ~?」

「えぇ、パッションフルーツの様な香りがありつつ、甘みと程よい酸味でフルーティねぇ。良いわぁ。コレ。……色は怪しいけれど」

「そうなのよ~。色だけはどうにもならないのよ~」



 ケリーも困ったように眉を下げて言うものだから、作った本人も相当に試行錯誤した上での結果の様ね。

 でも、美味しいお茶を頂けたから満足よ。

 流石ケリー、ハズレを出さない男ね。


 私はケリーに先程作ったガラス板を元に、ガリに窓枠を作ってもらえるよう頼んでもらうことにしたわ。

 ガリは一階の柵と板張りを終えた後はどっかに出かけて行ったのよね。

 ちなみにケリーは周辺の草花を採集しては料理の研究に余念がないそうよ。


 私はというと、ケリーにトートバッグをプレゼントして、みんなの下着を作ったわ。

 パンツはゴムが無いから紐縛りタイプのトランクスにしてみたけれど、まぁ、無いよりましよ。

 上は生成りのTシャツを3枚に靴下。

 靴下もゴムは無いけど伸縮性を持たせるように編みこませてあるの。

 他にバスマットと布巾とエプロンも用意してみたの。


 ここまで作った所で私ははたと気付いてしまったわ。

 あのポンポンは全て加工してしまったけれど、何も馬鹿正直に全て糸ボールにする必要はなかったのよね。

 綿が有ればあんなものやこんなものが作れてより快適になるじゃないのよ。


 よし、決めたわ。

 そうと決めたらまたポンポン狩りよ!


 ケリーに出かけることを告げると、外で待っていたパトラッシュの背に跨って、いざポンポン狩り!

 風の様に駆け抜けるパトラッシュの背に乗るのもだいぶ慣れて来たわ。

 パトラッシュの次のポンポンスポットは午前中の場所よりさらに下流に行った場所よ。

 川の流れが幾つかの小川の合流で水かさが増して早くなり始めたところね。

 相変わらず綺麗な透明度は健在だけど、結構な急流になってきているわ。


 その川べり付近には沢山のポンポンが群生していて、ポンポン畑と言っても過言じゃないくらい沢山咲いていたの。

 私は再びお姉を捨てて片っ端からポンポンを千切っては投げ、千切っては投げ入れていったわ。

 作業開始から一時間程で無事に取り尽したポンポン。

 私の網バッグはカエルのお父さんのお腹の如き様相よ。


 休憩のために近くの石の上に腰かけた私。

 上を見上げれば日が傾いてきているかしら。

 時計を見ればもう四時だものね。日も傾くはずだわ。

 私はぼんやり川の流れを見ながら考えていたの。


 ステータスを見ればMPが40減っているんだけど、MPが消費されるってことは、これって魔法よね?

 魔法と考えると腑に落ちる現象を色々と感じているのよ。

 例えばフェンリルブレードを作った時のごっそり何かが持っていかれた様な疲れ。

 あれは他にMPが大きく減った時に同様の疲れを感じていたの。

 たぶん、あの「何かが持っていかれた」ものが魔力なのよね。

 そう考えたとき、私が自分の魔力を感じている事実に気が付いたの。


 そうよ、私は魔力を知っている。


 少なくとも普通の疲れとは違う疲労感を私は毎度感じ取っているもの。

 その証拠にHPが減ることは殆ど無いのよ。

 ガリとかケリーはなんだかんだと重労働しているでしょう?

 だから結構HPが削られているって話を聞いているの。

 それに比べて私のHPは全くと言って良いほど変動が無いわ。

 これは体で疲れたわけじゃないってことを物語っているのよ。


 昨日のガン寝も疲労度で言えば二人の方が上の筈なのに、私の方が先に意識を持っていかれた。

 これはつまり精神的な部分で疲労が溜まっているって事よね。

 ゲームや漫画の世界で言う精神力は、大抵魔力コントロールに関連していることが多いわよね。

 だとしたら、私は魔法の使い過ぎで疲れているわけなのよ。

 

 さてキョーコさん、実験よ。


 私の体の中にはMPなる力が流れているの。

 では、その力を私はいつも何処から出していたかしら。


 正解は両掌よ。


 両手を物に触れてイメージする。

 確固たるイメージを思い浮かべて形を整える。

 掌に力を注いでいくイメージで集中する。

 完成。……こういう流れだったわよね。


 じゃぁ、この何もない空間に手を触れてみた場合はどうかしら。

 空間には何もないから錬成しようがない。でも、実際は出来ちゃうのよ。

 何故かといえば、フェンリルブレードよ。

 フェンリルブレードは「足りない物質も集めて」形にしたものなのよ。

 その為に大量のMPを消費する結果になったけど、つまり足りないものは無理をすれば集められるという証拠。


 私は両掌を前に突き出してみる。

 そして目を瞑り、確固たるイメージを思い浮かべ、その形を作るための力を掌に集中していく。

 それは六角柱の氷柱。

 先が尖っていて回転を加えて目標に向かって飛んでいく。

 目標は前方の樹木の幹。そのど真ん中に向かって飛ぶ様を思い描いていく。


 

 パキパキペキペキ……シュン……ボフ!!



「え」



 目を開けて見ると、前に見えている木の幹に確かに思い描いた氷柱が深々と突き刺さっていた。

 私は思わず自分の掌を見回したけど、どこか変化が有るわけでもなかった。

沢山の素材を集めることが出来ました。

ケリーは耐熱ティーポットに大喜びです。


そして、遂にキョーコは思いつきました。

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