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015 カラフルで香りが凄いアレ


 ガリは突っ伏してる私を放っておいて、さっさと自分の仕事に入っちゃったわ。

 彼は家の周りに柵を作っているの。

 180cmくらいの高さの柵を周囲に張り巡らせている感じ。

 パトラッシュは柵をしてもジャンプをしたら出ていけるから、ほかの獣対策ってところかしら。やっぱり人間様が住む所には動物も匂いを嗅ぎつけて近づいて来るでしょうしね。


 それにしても、相変わらず作業速度が尋常じゃないのよね。

 元居た世界では有り得ないスピードでどんどんこなしていくのよ。

 筋力とかも全然違うんだと思うの。たぶん、攻撃力とかがこの世界仕様になったからなんだと思うけど。

 柵の設置が終わったら全面的に床を張るって言っていたから、靴を脱いで暮らせそうね。

 なんだかんだ言っても、ガリのおかげで人間らしい暮らしが出来ているんだけど。


 さぁ、気を取り直して、次は石鹸よ。

 というわけで、解体作業中のケリーの所に行ったの。



「ハロー、ケリー。ご機嫌如何?」

「……」



 あ、息もしたくないくらいなのね。

 分かるわ。


 私もこの場に来たら鼻呼吸やめたほどだもの。でも、私もやらなきゃいけないという覚悟で来たのよ。

 ちなみにケリーはパンツ一丁というあられもないいでたちよ。

 服が汚れるのが嫌だからという理由で、寒い中をパン一で包丁片手に作業しているの。

 思ったより根性座ってるわよねぇ。



 やっぱり男は度胸、男は根性、男は我慢よ!



 で、私も汚れ防止のためにTシャツパン一にはなったのよ。

 正直寒くてやってられないけれど、私もケリーと気持ちは同じだもの。そして、ケリーが解体した豚っぽい動物の肉に触れたわ。そこで錬金術を発動!


 豚肉から脂分を分離することに成功!


 ついでに骨をカルシウムに分離してやればどうかしらと思ってやったら、良い感じに肉から骨が消えたわ。



 やったねキョーコちゃん!やったー!やったー!



「……キョーコちゃん、それ使えば皮剥ぐの簡単ですよね~?」

「……言われてみれば」



 ケリーに死にそうな顔で言われてちょっと引いてしまったけど、事実その通りだから何も言い返せなかったわ。

 その後私は動物の死体に触れて毛皮と油とカルシウムに分離したわ。そうしたら、簡単に綺麗に毛皮と油と骨の抜けた肉が用意できたの。あとはケリーが内臓とかを処理して切り分けたらスッキリって感じ。骨の抜けた肉って不思議ねぇ。イカやタコみたいに弾力があるのに骨が無いみたいな感じかしら。それが自分も知っている哺乳類っぽい動物で起きているという非現実感がやばいわ。


 私は粗方動物の分離を済ませると、一塊の油を貰ったわ。

 ついでに香りの良いハーブもケリーに聞いて、彼の食料保管場所から少し分けてもらったの。

 

 切り株の上には先程の動物から取った油、ケリーから貰ったハーブ、囲炉裏から持ってきた灰、ボール一杯の水、そして岩塩を用意したわ。これら材料を大きめの鍋に入れて蓋をする。そして、その蓋の上に私が両手を乗せてイメージするわ。


 本来であれば動物性油脂は不純物も多いから塩析して分離してやったりと手間暇の掛かる作業だけれど、私にはそれをショートカット出来るスキルが有るから、おおよそその作業に必要な素材を用意しておいて、その作業内容をイメージして置けば形になると思うの。だから、材料はそのための用意ね。


 必要なものは一通りそろえたつもりだけれど大丈夫かしら。たぶん、馬鹿正直に作ろうとしたら絶対に上手く行かない自信は有るのよ。だって、私が求めているものはアレだもの。某石鹸屋で売っていたカラフルで香りが凄いアレよ!!その為にわざわざ染料になるお花も各種用意したくらいだもの。


 私が手を置いた瞬間、鍋の蓋の隙間から青白い光が見えたかと思うと、すうっと消えたわ。私は蓋をゆっくりと開けて見たの。そうしたら、幾つかカスの様に残ってはいるけど、その中に大きめの四角いアレが出来ていたのよ!ハーブのおかげでふんわりといやらしくない香りも漂っているし、成功よね?



「出来たわ。石鹸よ。あの、レッシュの石鹸よ!うっほほ~い!」



 私はその場で思わず小躍りしちゃったわ。

 傍から見れば世にも不思議な踊りかもしれないけれど気にしない!


 これで脂ぎった中年ボディの残念な加齢臭ともおさらば出来るもの。

 あとはシャンプーとかリンスが有れば最高よね。というわけで、先程の油から動物性の香り成分を抜き取る様に念じて油を製油して、そこにハーブを細かく分解して溶け込ませるイメージで作ってみたわ。


 即席オーガニックシャンプーっぽい何かの完成よ!

 動物性油脂で作っているから効果の程は未知数だけど、ウフフ、これで私達の快適生活は約束されたわ!


 丁度解体作業を終えて冷蔵庫へ肉を運び出しているところのケリーと会ったの。

 ケリーに見せたら目を輝かせていたわ。

 

 うんうん、そうよね。

 ……あんな臭いところにいたんですものね。


 あ、そうだわ。

 それなら残り湯で残念でしょうけど、お風呂入れなおしておかなくちゃ。



「ケリー、冷蔵庫に入れ終わったら、またお風呂なんていかが?」

「……その石鹸使っても良いんでしょ~?」

「あったりまえでしょ~」

「もう、キョーコちゃん大好きよ~」



 そう言って急いで収納作業を始めたわ。

 私はお風呂の方に行ってお湯を温めなおし、切り分けた石鹸を小皿に入れ置き、小瓶に入れたシャンプーも用意しておいたの。丁度良いから私も手足だけ洗ってみたわ。


 うん、良い!


 そして、家に上がって作ったばかりのあの手拭いで拭いたの。

 あぁ、乾布摩擦を思い浮かべる肌触り。

 でも、気持ちこっちの方が柔らかくて肌触り良いかしら。


 そよ風に吹かれて気持ち良い。


 その後私は二階からケリーのタオルを持って来て、風呂場にそのタオルを用意しておいたの。

 その頃には丁度作業を終えたケリーが居たから、風呂場の用意が出来たと伝えておいたわ。


 風呂場からはケリーの鼻歌が聞こえてきた辺り、好評と思って良いかしら。

 あとはドライヤーさえあれば完璧なんだけれどね~。

解体作業に苦労していたケリー。

キョーコの錬金であっさり分解されては苦労が報われません。


待望の石鹸とシャンプーをゲット。

それに日本手ぬぐいも用意してケリーも満足です。

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