014 orz
さて、籠一杯のポンポンに私は両手を押し付けるように置きました。
そして、脳内に糸をイメージします。
すると、青白く光ってポンポンが消えて鍋の中に糸のボール状に丸まった物が出来上がりました。
鍋一杯で作られた糸ボールはソフトボール大の大きさ一つ分。
……先は長そうね。
でも、今度はその糸に手を触れてタオル地のハンドタオルをイメージしてみたわ。
それで出来上がったのは……ハンドタオルの大きさにはかなり足りないけど、タオルの完成よ。
小さなハンカチサイズが精いっぱいだったのよ~。
意外にあのタオルっぽくふわふわした感じにする編みこみに糸が使われているのよね。
これって、日本手ぬぐいみたいな感じで考えていたらもう少し良かったのかも。
次はそっちで考えてみようかしら。
私は近場のポンポンを摘みまくったわ。
頑張って籠二つ分収穫したところでこの辺のは取り尽した感じ。
帰ったら早速糸ボールを作って、今度はその糸ボールから大きな網の袋を作ったの。
何に使うのかって?
それは決まっているじゃない。
もっと一度に大量にポンポンを運ぶためよ。
出来上がった大型網バッグを用意した私は、パトラッシュを大声で呼んだわ。
程なくしてパトラッシュがやってきたので、彼にポンポンが沢山ある場所に連れていくように話したの。
そうしたら、川の向こうにポンポンが沢山あったって言うから連れて行って貰ったわ。
相変わらず速いのよ。
歩いて行ったら何十分も掛かりそうな道のりも、パトラッシュにかかれば10分も要らないわ。
パトラッシュが連れてきたところは、一面に広がる白い綿毛の草原。近くにゆったりと流れる小川のせせらぎが聞こえて、心地よい風と遠くで囀る鳥の鳴き声も聞こえる。
「まぁ、凄い群生地!パトラッシュ、お手柄よ!」
「主の喜びが我の喜び」
そう言ってパトラッシュはしっぽを千切れんばかりにブンブン言わせているわ。
可愛い。
私は彼の頭を優しくなでなでした後で、早速摘み取りにかかったわ。
もう、作業に入るとなったらお姉は邪魔よ。
おネエである私を封印して、男になるの!
「ふんがーーーー!!!!!」
鬼気迫る勢いで摘みまくってやったわ。
千切っては投げ入れ、千切っては投げ入れ、本当に一心不乱にポンポンをポンポン放り込んだの。
……ごめんなさい。おやじギャグだと笑うがいいわ。だって、私、おじさんだもん。てへ。
そうして一生懸命頑張って取っていたらあっという間に時は過ぎ、太陽の光が上になっていたわ。
時計を見たら1時過ぎ。
網袋のなかもびっしり。
「はぁ、摘んだわ。パトラッシュ、戻りましょう」
「了解した」
私はサンタのおじ様が担いでいそうなくらいに膨らんだポンポンだらけの網バッグを担いでパトラッシュの背に乗ったの。流石にこれだけの量のポンポンを担いでいる私に気を使って、帰り道は気持ちゆっくり目で走ってくれたわ。だから景色を見る余裕が有ったのよ。
そこで、鑑定をしながら帰り道の景色を見ていたら、山の麓の森に隠れて「洞窟」の表示が有ったの。
鑑定結果 「洞窟」……未踏破。
これって、もしかしなくてもダンジョン的な何かよね?
でも、流石に何の準備もなく行くわけにもいかないから、今回はスルーすることにしたけど気になるわね。
帰ってからは早速大量の綿花を糸ボールに変えたわ。
今回は期待通りの大量の糸ボールに変化してくれたの。
それでとりあえず日本手ぬぐいを3つイメージしてみたわ。
絵柄は勿論日の丸よ!
日本人だもの、日の丸で決定でしょう? 異論は認めないわ!
染料としてカーマンも用意したからバッチリよ!
「出来た!やった、やったわ!」
3枚作っても消費した糸ボールは大したこと無かったわ。
やっぱりパイル地にするよりは消費が少ないのね。
まだ大量にあるから暫くは糸ボールに困ることはなさそうだわ。
家の裏を見たら必死の形相でケリーが獲物の解体作業中の様子。
……とてもスプラッターな状況だったので何も言わずに後ずさったの。
私は日の丸印の日本手ぬぐいを家の中に仕舞う。
次は大きめの冷蔵庫というわけで、パトラッシュに大岩を幾つか拾い集めて貰って、早速大型の物置サイズで氷室式冷蔵庫を作ったわ。
今回は構造設計に工夫をして真空断熱構造みたいなものを採用して壁を薄く軽量化したの。
軽量化した壁には三方向から板氷を入れるスペースを確保して壁の側面から冷やす感じにしたわ。
組み立ては丁度良くガリが材木を担いで帰ってきてくれたから、ガリと一緒にやったの。
組み上がったらパトラッシュと一緒に昨日の川に行って、大きな板氷を4つ作って持ち帰ったわ。
三つは冷蔵庫の壁に収納して、4つ目は冷蔵庫の床に敷いてみたの。
良い感じにヒンヤリしているわ。
「見た目は百人乗っても大丈夫的なアレね」
「それ、言われないと全く分からないわよ」
「私の中ではそうだったのよ。でも、これで大量の獲物の保管もいけるわよね」
「そうね。あたしは燻製とかにしても良いんじゃないかと思っていたけど」
「……燻製!?」
ガリの言葉を聞いて私は一瞬固まったわ。
おおぅ。
私はどうしてそれに気付かなかったのかしら。
何も馬鹿正直に全部冷蔵する必要はないじゃないのよ。
燻製にすれば日持ちもするし、美味しいし、携帯も出来るじゃないの。
私はその場の地に手を付いて突っ伏したわ。
まるで「orz」という文字列のごとく。
「キョーコ、どうしたの!?」
「……私の脳の出来の悪さに自己嫌悪しているところ」
「まぁ、今更?」
「……」
ガリの言葉はこの時ばかりはずっぷりと胸に刺さる思いだったわ。
家の近くに出来た大きな物置小屋の堂々たる威容には似つかわしくない私の無様っぷり。
はぁ。
ポンポン狩りにおネエを捨てたキョーコさん。
帰りの途中に見つけた洞窟が気になります。
そして念願の3人お揃いの日本手ぬぐいが出来ました。
でも、燻製という保存食の定番に気が付かなかった自分に自己嫌悪です。




