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Marker Which Puppet Sent   作者: カトウ
第一幕
5/7

人間談義

今回は前回の綾式が出した問題の答えがわかります。宜しくお願いします

 「ご無沙汰してるね」男はゆっくりと部屋の中に入ってきて、そのまま綾式が座っているのとは反対側のソファーに腰を下ろした

 僕が丁度淹れたお茶を男の前のテーブルに置く

 「ああ、悪いね」男はゆっくりと飲み干した

 「アルシャッド、義手の調子が悪いそうだが今はどの様な感じだ?」アルシャッド?

 「うん、何だか今朝から重くて、しかも動かすと痺れるんだよ」

 「ふむ、どっちの手だ?」「左手」

 「どれ、見せてみろ」アルシャッドが左手を差し出す

 「外傷は…無いようだな。多分、信号の波長が微妙にズレてしまったのだろう。アルシャッド、腕を貸して貰えれば今日中に直して返してやれると思うのだが、どうする?ここで待つか?」

 「ここで待つよ。」アルシャッドは立ち上がって扉から出ようとする

 「そうだな、一階に行こう」綾式も立ち上がる。僕はカップを片付けて流しに持って行った

 30分くらい経っただろうか、アルシャッドがひとりで上がってきた

 「君は初めて見る顔だね」アルシャッドがいう

 「はじめまして、栞です」「いつからだい?」「冬からです」「じゃあここにも馴れてきたかな?」「はい、恐ろしいものです」「はははは」アルシャッドが笑う

 アルシャッド、見た目は日本人だが…

「私はアルシャッド、イスラミックな名前だろう?」ああ、イスラム教徒か

 「そうだ、アルシャッドさん、人間が存在するために必要な三つの要素ってわかります?」

 「礼奈さんが言ったのか?君はどう思うんだい?」

 「心と思いやりと陰口です」

 「ははあ、どうして?」「礼奈さんがヒントで一つ目が触れるもの、二つ目が感じるもの、三つ目が感じることさえできないものと…」正直意味分からん

 「うーん、礼奈さんはもっと人形に関係する答えを求めてるんだと思うんだけどな」綾式ってそういうものか。まあ、危ない人だとはわかっているけど、彼女の事はよくわからない

 「人形ですか?」そう言えば、僕が綾式に身体の話を持ちかけたんだった。そして、アルシャッドが義手の電話をかけてちょうど良いと、と言うことは……

 「アルシャッドさん、まったく想像つかないです」

 「ははは、諦めが早いな」「ありがとうございます」「ほめてないけど」

 「僕は、身体、精神、魂、だと思うよ」

 「はぁ、なる程。ところでお茶飲みます?」

 「あれ、興味ないの?」ないです

 「じゃあ、頂くよ」

 「どうぞ、あれ?でも魂ってよく聞くじゃないですか。ほら、お墓で漂ってる…とか。感じることさえできないんじゃないんですか?」

 「いや、僕も詳しい話はよくわからないけどね。でも、前に義手をつけたときに礼奈さんに言われたんだよ」じゃあ、アルシャッドさんは正解か

 「二人で何を話しているのだ?」礼奈さんが上がってきた

 アルシャッドが応える「礼奈さんが出した問題、今それを話していたんだよ」

 「それで、答は?」綾式はソファーに腰を下ろして言った

 「アルシャッドさんによると人間が存在するために必要な三つの要素は身体、精神、魂だそうです」

 「その通りだ」綾式が頷く

 「でも、ヒントじゃ三つ目は感じることさえできないもの、でしたよね?魂は人魂とかで見られると思うんですよ」

 「いいか、魂と言うのは車の鍵のような物なんだ」「車ですか?」

 「例えば、栞が車に乗ってある場所まで移動しようとする。これは意志だな」

 「車を運転しようとするとき、鍵が無ければエンジンはかからない。鍵を車に刺そうとするのも栞だ。こうしてやっと車は動き始める」「つまり、どう言うことです?」

 「つまり、物を見たり感じたりする『身体』である車は、栞という『意志』が『魂』である鍵を刺さないと動かないのだから、自らの魂を見たり感じたりはできない。車が動いているとき、人間である時は鍵は内側にあるからな。そして他人の魂も車の内側に隠れているから見ることはできん。合い鍵があれば見ることができるが、普通はそのようなものはない。そして栞の言う車が壊れた時、アルシャッドなら鍵をどうする」

 「壊れた車の鍵…捨てますね」オイ!魂を軽々しく捨てるな

 「そうだ」ええ!?

 「何を驚いた顔をしているのだ、栞。壊れた車の鍵など利用価値0だろう」

 「まあ、そうですけど」

 「壊れた車と鍵は棄てられてそのまま錆びていく。そして意志だけが昇華する」

 「へえ、僕はてっきり魂が昇華するのだと思ってました」

 「そう、つまり栞が見たという人魂は昇華寸前の意志を感じたんだな。見えたのは共感覚だろう」ははあ、なる程

 「あ、でも、礼奈さんは一つ勘違いをしています。」

 「何だ?」

 「僕は人魂を見たことはないです」

 「……」

 「ところでアルシャッド、義手の信号の波長を調節しておいた。ズレた原因はわからないが、多分これからは大丈夫だろう」

 「ありがとう」アルシャッドが右手で左腕を掴んで本来のあるべき場所にはめ込む。

 「うん、いい感じだよ」左手を動かしてみてアルシャッドが満足そうに頷く

 「お金は振り込んでおいたから」綾式が頷く

 「また、何かあったらいつでもきてくれ」

 アルシャッドは「お茶、美味しかったよ」と言って帰って行った

 「礼奈さん、アルシャッドさんって何者ですか?」

 「魔術師だよ」礼奈さんは笑いながら言う「本当に用心深い奴だ」僕にはよくわからない話だ

 「ところで礼奈さん、ぶり返しますけど、その三つの要素と人形に何の関わりがあるんです?」そう、ここが気になるところだ

 しかし、綾式はもうソファーに座ってテレビを眺めていて聞こえないようだった

ネタバレですが、実はアルシャッドさんと綾式は一階である重要な話をしていたのでした。

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