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Marker Which Puppet Sent   作者: カトウ
Prologue
3/7

命のあかし、故郷のあかし

京都の言葉は適当です。間違っていたらごめんなさい。

 「あれあれ、栞ちゃんやないか。なんや来はるなら言うてよ。」隣に住むおばさんである

 「新年やさかい、顔出ほうかな思って」

 「ほうかほうか、ほなほっこりしたでしょう、乗っていきな」ふむ、疲れただろうから乗って行けと

 「ええん?ほなお言葉に甘えて送ってもらおうかいな」

 ラッキーである。こんな寒い中標高800メートルの山を登るのかと思うと正直目の前が真っ白になるようだった。

 おばさんは言う、「それにしいやも、栞ちゃん東京人らしうならはったなあ」そんなことはない。全身灰色の服を着る東京人などいるわけないだろう。まあ悪い気はしないから、「まあね」と答えるが

 「いもとん文代も今年で高校生、せやかてちびっとは大きくならはったんかいな」一番気になる妹のことを聞く

 「ああ、文代ちゃん、厘教高校受かったんだって」厘教、厘教、すごい名門じゃないか

 「へー、ほな将来は政治家か社長秘書かいな」「古くさいよ、栞ちゃん。文代ちゃん、経済学んで学モンになるんかて」ははあ、知らない間に成長するものだなあ

 「まあ、気の早いこと」

 ようやく家の前についた。思い切って扉をガラガラとあける。「只今ー」

 一番に出てきたのは母さんだ「あらあら、急に帰ってきて連絡くらいちょうやいよ。ほら、靴脱いであがりな」「ありがとう」そうして靴を脱いでいると、妹がやって来た。

 「お兄さん、お帰り」「只今、厘教受かったんだって?おばさんに聞おいやしたよ。すごいやんけ」そういうと頬を赤らめて照れた。厘教に受かったからと言ってまだまだ子供らしい所があるのはちょっとうれしい

 まあ、結局妹の顔を見に帰ったようなものだから目的の八割は達成されたのである。居間でテレビを見ていると母さんがお茶を入れてきてくれた。素直に美味しい。やはり、毎日お茶に触れているだけのことはある。

 一日が過ぎて朝が来た。冷気が足を冷やして目が覚める。ご飯を食べた後、服を着込んで外出の準備をする。家に一泊して近くの神社にお参りしたらその次の朝に帰るつもりだ。お参りしようと玄関で靴を履いていると後ろから妹に呼びかけられた。「お兄さん、お参りしはるならうちも行ってええ?」奇妙だなとは思ったが断わる理由もないので「ええよ」と言う。「ほな行きまひょか」

 ぶらぶら坂を登りながら話をする「ええ大学行って学モンになるんかて?偉いなあ」

 「うちはそないしたいけどおとっつぁんが許さへんかも」「そうかぁ、僕もうるさかったもんなあ。実際、父さんも正しいこと言うけどなあ」

 「まあね」

 神社についた。そんなに大きくないけれど家は代々ここと決めている

 お賽銭を投げてパチパチ手を打つ。

 妹が切り出した。「お兄さん、うちの胸に手を当ててみ」何を言ってるんだこいつ

 「いきなってなんを言い出すんや。にーさんにそないな趣味はあらしまへんよ」

 「ちゃうん。心臓ん音を聞いてほしくて」はあ、そないですか

 「なんでそないなこと言い出すん」「うち、心臓があらへんみたいなん」「そない訳あらへんやろう」

 「どれ、腕を貸しいや」ヤバい…本当に脈がない。妹の体は熱をおびているから生きている。でも、脈と言う一点において命の証が欠如している。

 「お兄さん、うち何や忘れとる気がしはる」「大丈夫、僕も医者じゃないからな。何かの間違いだよ」

 「ほうか」「ほうだ」そう言いながら僕は自分の胸に手を当てた。僕も何かを忘れている気がした。

 その夜父さんと月を見ながら話した。

 「ほうか、文代が言い出したか」「とっつぁん、ほんまんことをおせておくれやす」

 父さんは酒を少し飲んで切り出した「いっぺん死んでるにゃ」「死んでる!?じゃあ今話している僕は、妹は!」「お前たちはお前が10ん時に一緒に遊びにいかはったきり帰ってこおへんどしたんや」

 目の前が真っ白になったようだ。両親が探しに行くと二人とも裏の崖から落ちて死んでいたそうだ。とても悲しんだそうで、崖の下で動かない二人を抱いてずっと泣いていたらしい。すると二人の前に老婆が現れたという。老婆は二人の命を助けようか訪ねた。

 「ほな、もう行きますわ」見送りに来た妹と母さんに別れを述べて、扉を開ける。一気に冷たい風が入り込んで尻込みするが足を踏み出す。いつまでも無垢を装うことは出来ないのだから。

 「しっかりお願いしてきたか?」アパートに帰ってくると久保田さんがやってきて話しかけてきた。そう、残りの二割を忘れていた。「すみません、来週には返しますから」「来週って二ヶ月分ためる気じゃないだろうね」大丈夫だ。何しろ月収15万だ。「大丈夫です。仕事は見つけましたから」

 「そう?じゃあ宜しく頼むよ」

 明日にでも顔を出そう。今では懐かしくさえある第二の故郷に

 この話でプロローグは終わりです。この先は全部で五章編成にするつもりです。どうかこれからよろしくお願いします。

 次話では新キャラが登場します。乞う御期待

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