↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せっかく勇者に転生したのだから、さくっと魔王を倒してあとはハーレムを作りたい  作者: naomikoryo


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/65

第7話 聖女は勇者嫌い

ドラゴン討伐から数日後。

ハヤトたちは聖都ルミナスへ向かっていた。

聖都。

神殿総本山。

そして聖女が住む場所である。

馬車に揺られながら、ハヤトは窓の外を眺めていた。

ハヤト:「聖女かぁ。」

ハヤト:「美人かな。」

フローネ:「まずそこなんですね。」

セレナ:「そこしかないのよ。」

ハヤト:「いやだって気になるだろ。」

ハヤト:「聖女だぞ?」

ハヤト:「絶対可愛いじゃん。」

セレナ:「根拠が意味不明ね。」

ハヤト:「ゲームとか漫画とか。」

フローネ:「勇者様。」

ハヤト:「はい。」

フローネ:「現実です。」

ハヤト:「異世界だけどな。」

反論できなかった。


◆◇◆


数時間後。

巨大な城壁が見えてくる。

白い石で造られた美しい都市。

中央には巨大な神殿。

聖都ルミナスだった。

ハヤト:「おおぉ……。」

フローネ:「綺麗ですね。」

セレナ:「相変わらず堅苦しい街だけど。」

三人はそのまま大神殿へと案内される。

内部も凄かった。

高い天井。

色鮮やかなステンドグラス。

そして神聖な空気。

ハヤトですら少し緊張するほどだった。

(なんか失礼なこと言ったら怒られそうだな。)

(気を付けるか。)


やがて。

神殿の奥から一人の少女が姿を現した。

黒髪。

透き通るような白い肌。

整った顔立ち。

年齢はハヤトと同じくらいだろうか。

美少女だった。

間違いなく。

ハヤト:(可愛い。)

(めちゃくちゃ可愛い。)

(これは当たりだ。)

少女は静かにハヤトの前まで歩いてくる。

真っ直ぐ見つめる。

数秒の沈黙。

そして。

アスカ:「あなたは勇者失格です。」

ハヤト:「初対面だぞ!?」


迎えの神官たちも固まっていた。

フローネも目を丸くする。

セレナだけは少し面白そうだった。

ハヤト:「いや待て待て。」

ハヤト:「俺まだ何もしてない。」

アスカ:「しています。」

ハヤト:「してない。」

アスカ:「しています。」

ハヤト:「してない。」

アスカ:「しています。」

フローネ:「子供の喧嘩ですか……。」


◆◇◆


応接室へ移動した後も状況は変わらなかった。

ハヤトとアスカが向かい合う。

アスカは静かに紅茶を飲んでいる。

ハヤトは納得できていなかった。

ハヤト:「理由を聞こうじゃないか。」

アスカ:「聞きたいんですか?」

ハヤト:「もちろん。」

アスカは無表情で答えた。

アスカ:「ハーレム。」

ハヤト:「ぶっ!?」

アスカ:「温泉。」

ハヤト:「待て。」

アスカ:「胸。」

ハヤト:「やめろ。」

アスカ:「美人のお姉さん。」

ハヤト:「やめてぇぇぇぇぇ!!」

セレナが盛大に吹き出した。

フローネは頭を抱えている。


しばらくして事情が判明した。

アスカは特殊な加護を持っていた。

相手の感情や思考が薄く伝わってくる能力。

つまり。

ハヤトの煩悩が筒抜けだった。

ハヤト:「そんな能力ある!?」

アスカ:「あります。」

ハヤト:「ずるくない!?」

アスカ:「勇者よりは。」

ハヤト:「ぐっ。」

反論できない。


◆◇◆


その日の夕方。

アスカの案内で聖都を歩くことになった。

なぜか二人だけで。

ハヤト:「嫌われてるんじゃなかったのか?」

アスカ:「嫌いですよ。」

ハヤト:「即答。」

アスカ:「でも勇者ですから。」

アスカ:「最低限は案内します。」

ハヤト:「優しいな。」

アスカ:「勘違いです。」


途中。

裏路地から泣き声が聞こえた。

小さな子供たちだった。

服はボロボロ。

痩せている。

孤児だった。

ハヤトは足を止める。

ハヤト:「どうした?」

少年:「お腹空いた……。」

聖都は豊かな街だ。

それでもこういう子供はいる。

ハヤトはため息をついた。

ハヤト:「待ってろ。」

アスカ:「勇者?」

数分後。

大量のパンを抱えて戻ってくる。

子供たちは目を輝かせた。

ハヤト:「ほら。」

ハヤト:「いっぱい食え。」

少年:「いいの?」

ハヤト:「もちろん。」

少女:「お兄ちゃん優しい!」

ハヤト:「えへへ。」

少し照れていた。


◆◇◆


子供たちと別れた後。

アスカは黙ったまま歩いていた。

ハヤト:「なんだよ。」

アスカ:「別に。」

ハヤト:「怒ってる?」

アスカ:「違います。」

少しだけ沈黙。

やがて。

アスカがぽつりと言った。

アスカ:「あなたは不思議です。」

ハヤト:「何が?」

アスカ:「頭の中は最低です。」

ハヤト:「おい。」

アスカ:「欲望だらけです。」

ハヤト:「ひどい。」

アスカ:「でも。」

そこでアスカは立ち止まる。

初めて柔らかく微笑んだ。

アスカ:「優しい人ですね。」

ハヤトは少しだけ目を見開いた。

その言葉は。

女神にも言われた言葉だった。

ハヤト:「……そうかな。」

アスカ:「そうですよ。」

夕日が聖都を赤く染める。

その瞬間だけ。

二人の間の空気は少しだけ穏やかだった。


だが。

そんな平穏も長くは続かない。

聖都の外では。

魔王軍が着実に動き始めていたのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。