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いざ、文芸部へ!①


キーンコーンカーンコーン。


「っしゃー! 終わったぁ!」


最後のチャイムと同時に、橘美羽は勢いよく立ち上がった。


「みうー」


教室を出ようとしたところで、ギャル友の莉乃に腕をつかまれる。


「駅前行こ! プリ撮って、新しいクレープ屋!」


真奈も、後ろでうんうん、と頷く。


「ごめん、今日はパス!」


「えー」


「今日は予定あるんだわ」


「……デ、デート?」


真奈がいつも通り、ボソっと突っ込む。


「ないないー」


「じゃ、バイト?」


「それも、違うっ!」


「まさか、補習?」


「そんな悲しい予定、いくわけないっ」


美羽はニヤッと笑いながら言った。


「ぶ、か、つ⭐︎」


「……はぁ?」


莉乃や真奈だけじゃない。


近くにいた女子まで一斉に振り返った。


「えっっ、美羽がーーー?」


「つか、何部よ?」


「ナイショ」


「絶対ウソついてるわ〜」


「いや、ホントって!」


「えー! 気になる!」


「てことで、じゃ、また明日ね!」


質問攻めになる前に、美羽は教室を飛び出した。


廊下を歩きながら、小さく笑う。


「そりゃ信じないよねぇ」


この趣味だけは、中学の頃から誰にも話したことなかった。


友達はコスメやアイドルの話で盛り上がる。


その横で、自分はこっそり本屋へ寄って、小説を買って帰る。


みんなと違う気がして、なんとなく言えなかった。


「でも、高校では別!」


好きなものくらい、好きって言いたいじゃん。


そう思って選んだ先が、文芸部だった。



校舎の隅にある古い部室棟。


「ここか〜、なんか、不気味」


小さなプレートを見上げる。


漫研/文芸部


「……え」


思わず、二度見した。


「いや、なんで?」


漫研と文芸部。


カレーとパフェくらい組み合わせが分からない。


「ま、入れば分かるか……」


コンコンッ。


「ちわ、失礼しまーす!」


ガラッ。


部室の中にいた四人の男子が、一斉にこちらを見た。


「…………。」


「…………。」


「…………。」


「え、なんか怖っ」


思わず声に出た。


一人の男子が小さくつぶやく。


「……ギャルだよ」


「おい、聞こえてるぞ〜」


「す、すみません!」


慌てて頭を下げられる。


「謝られると逆に気まずいんだけどさ」


美羽が苦笑すると、部室の空気が少しだけ和らぐ。


「一年の橘美羽でーす!」


元気よく頭を下げる。


「文芸部に入りたくて来ました!」


部員たちが一瞬、固まった。


「えっと……」


「……文芸部って」


「ど、どうする?」


美羽が不思議そうに部員たちを見る。


「はぁ? なに、その反応?」


そのとき、奥の席から黒眼鏡の男子が立ち上がった。

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