65:ようこそ、バーストレンジ
[Ⅲ]
〈視点/ISEKAI大樹店/人々と神〉
誰もが息を飲み、言葉を失っている。観客も、実況の妖精も。
決着はついた。だが、その直前、会場の大衆は目撃していた。星撃の魔道士に起こった変化、あれは、確かに【魔王】化で——。
——ぱぁん、と。
淀み、濁りかけた空気は、その一発で破けて散った。
鳴り響いたのは、巨大で豪快な柏手の音……神が鳴らす、この上なき祝いであった。
「天晴れ天晴れ、ようやった! この世界の【魔王の種】に、遠き異界の【魔王の裔】よ! 【英雄】打倒の大番狂わせ、スサノオ神が楽しんだ!」
柏手は拍手へ変わり、痛快爽快を讃え続ける。
いつしか、それは周囲に伝播する。
あらゆる疑問を、拒絶の気風を——名勝負の感動が、吹き飛ばして塗り替えていく。
「お互い、一つだけなら害あるマイナス——しかし、重ねたならばそれこそプラス! これだから世界の交流は、無限大に愉快也! 運命を型破るもの——|定められし範囲の拡張者よ! 貴公らの幻想闘祭公式出場、須佐之男命が許す! どこの神にも文句は言わさん、はじまったばっかの世暦、いつか昔話になるくらい、面白くしてやっちゃれぇぇぇぇい!」
神が拳を突き上げ叫べば、観客たちも熱狂の拍手をもって彼・彼女の勝利を称え、何よりも歓迎を示す。
かくして、つまりは、この日この戦いこそ——今秋の大祭、いや、この後の未来のシーンにおいて、幻想闘祭を大いに盛り上げるパーティ、そのエースたるプレイヤーの切札。
[集めし光は彼方を超えて]誕生秘話として、後に多くの異世界で語られることになる、伝説の始まりなのであった。
第4章、これにて終了。
この後、エピローグもお楽しみください。
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