56:輝きは星を撃つ/Ⅱ
〈視点/ISEKAI大樹店/観客たち〉
発光。
一瞬、誰もが言葉を塗りつぶされ、会場が静寂に支配される。
[輝きは星を撃つ]——。
それは同じ名を冠する、[星撃]の代表スキル。
詠唱と杖の作用により、魔力を増幅させて放つ——それだけならば、他の魔道士とて行う。
しかし。
【魔導神】ネキュローズが開発、術式化したシステム、多重人造星辰配列疑似世界転換法は、その威力を埒外の領域に引き上げた。
“色”の乗らない無属性、純粋な魔力の閃光。
属性防御、環境効果によるバフ・デバフ無効。
長所は言うに及ばず威力と範囲と射程。
弱点もまた言うに及ばず、溜めの長さに始まる取り回しの悪さ。
発動準備中から発動中にかけて、星撃はその場を動けない。魔力燃費も最悪で、発動後にも冷却時間を必要とする。
使い勝手は大層悪い。使用者もほとんど居ない。気まぐれに使われたとして、大抵はネキュローズを模倣しきれず、強大な威力に振り回されて終わる。
それ故に。
その無茶が輝かんとする時、見る者は否応も無く、可能性に沸き立つ。
轟音と閃光は圧倒による空隙を生み、しかるのち、世界が生まれるような歓声が破裂した。
『な……なんという眩さでしょう、[輝きは星を撃つ]! 人が編み上げた魔法の極致! ファンフェスレジェンドプレイヤー【魔導神】ネキュローズが作り上げた職業体系、初心者ながら彼女、ラグラグラミナさんは必死にその性能へ食らいついています! ……しかし——』
ニッシュが健闘を讃えながらも、残念そうに語尾を弱める。
その弱まりと同じく、本来、全てを貫く魔力砲は、海龍神の表面で散っていた。
『彼女が放ったのは溜め二段階目、魔力使用量をセーブしたもの! しかも、向けたのはよりにもよって神相手! 折角の威力が意味を成さず、同じ向けるのならば……いえ! プレイヤーが全力を尽くす刹那の状況にたらればは無粋! 大変失礼いたしました!』
「いや、これでいい。彼らの判断は徹頭徹尾、綱渡りを維持している」
『えッ!? どういうことでしょうか、スサノオ神!』
「単純な話だよ。あいつらが今戦ってるのは、神じゃない——同じプレイヤー、だろ?」
そら、とスサノオ神が指を指す。
ニッシュが気付き、「ああーっ!?」と叫ぶ。
魔道砲は海龍神を貫けない、しかして、その輝きは——。




