第84話
コブダイはこの大きさになるには10年近くの年月が必要となる。
なので食べない場合は釣ったらすぐに放流してやらないと巨大コブダイの数が減ってしまう。
俺は釣る以上は食べるって考えなので今回の釣りはこれで終わりとした。
釣り具を片付けた後に調理道具を出してきた。
『ここで下処理をやりますね』
興味津々でどうやるのかを覗いてくるユキさん。
まずは脳天締めを行う。
色々やり方はあるが俺は長年やってて場所を把握してるのでそこへ向けて垂直に包丁を入れ込む。
これがウマく決まると口を開けて動かなくなる。
お次は血抜きだ。
エラ部分にハサミを入れて血が出るようにする。
それと尻尾の根元部分を切りこちらからも血が出るようにする。
水蛇口があればエラ部分からホースで水を送り込むと尻尾部分に向けて水が通り血抜きが出来るが、今回はバケツに塩水を汲みそこで血が抜けるのを少し待つことにした。
血がある程度抜けたら尻尾の切った断面の中央部にある大動脈部の少し上の所に神経締めワイヤーを入れていき神経締めを行う。
そこまでやったら次は一気にウロコ剥がしでウロコを剥がしとる。
その後に腹を割き、内臓などを取り出し骨に沿ってある血合いと呼ばれる所をブラシでゴシゴシと洗浄する。
最後に頭部分を切り落とし三枚に卸せば完了だ。
『ふう、これでおしまいです』
タオルで水分をふき取り各部をタッパへ納め魔道車の冷蔵庫へ入れておく。
さてユキさんの釣ったのも処理するかと思ってたら
『のう、今の作業にどんな意味があるのだ?』
『これはですね、すべて美味しく食べる為の準備なんですよ』
『ほう・・・・我がやってみてもいいか?』
んー・・・・まあ最初の脳天締めだけ気を付ければ大丈夫かな?
『それじゃあ補助しますんでやってみますか?』
『うむ』
護衛の方に手伝ってもらいコブダイを抑えてもらう。
『まずはこの辺りで包丁を入れて締め作業をしましょう』
『ここだな・・・・・ふっ』
一息吐く様にして包丁を差し込む。
暴れようとしていた巨体が動かなくなる。
『うまく締まったようです、お次は血抜き作業です、このエラ部分からハサミを入れて中のエラに切り目を入れて下さい』
バケツの塩水に血が抜ける。
『それじゃあ、この部分にこのワイヤーを入れて行って下さい』
神経締めを終えウロコを剥ぎ内臓を取り出す。
『うまくできましたね、これはこのまま使いたいのでこれで終了です』
『よし、やれたのじゃ!』
片づけを終え家に戻ることにした。
『のう、2種類コブダイはどうやって食べるのじゃ?』
魔道車の中でユキさんが質問してくる。
『そうですね、三枚に卸した方は刺身、フライ、煮付けなどにしようと思ってます、もう一匹は秘密です、楽しみにしててください!』
『fmfm、なんとなく言ってる料理はわかるが・・・秘密か・・・・楽しみであるな!!』
実はコブダイではやったことない料理なのだがおいしくできるといいな。
ちょっと残酷かもですが大きめの魚はこの処理をするとしないでまったく別物になるんですよね~。
せっかく食べるなら美味しく食べたいのです!




