表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女リックと月夜より現れし者  作者: はなさき
第三章 思いは心の中に
16/24

十五話 負けられない戦い

 リックとイアンが出発して数時間後。二人の前にある男が現れた。イアンはその男と話していた。

「何故、此処が?」

「それは少女が知っている」

 男は問い掛けに答えると、リックに目を向けた。リックは男をじっと見た。リックと男は一度会っていた。ランス達がアレクと戦っていた時、最後に現れた男だった。アレクをたった一撃で倒したことを思い出したリックは戦慄した。

「リックが? 会ったことはないはずだ」

「いや、俺がアレクを殺した時にいた。他に男が二人いた」

 男の言葉にイアンは眉間に皺を寄せた。咄嗟にリックを護るように前面に立った。男は溜め息を吐いた。

「何もしない。ただ御前に頼みに来た」

 それでも、イアンは警戒をした。何故なら、この男なら攻撃を仕掛けてくると思ったからだ。

「俺に頼みとは?」

「戻ってくる気はないか? いや、戻ってこい。御前は強い。半ヴァンパイアになっても力は衰えていない」

 男の言葉にイアンは表情を変えた。イアンの答えは最初から決まっていた。

「俺は戻らないと決めた。悪いが、期待に応えられない」

 次の瞬間、男はイアンに襲い掛かった。イアンはリックを守るように体を張った。攻撃を食い止める。男は体勢を立て直すために、一旦距離を取った。

「何故だ。そうまでして、後悔してるのか。人間を助けられなかった事を。御前はもう人間じゃない」

「……そうだ」

 男の言葉にイアンはたった一言発した。リックはただ様子を見ることしかできなかった。

「ならば、仕方ないな」

 男は言葉を口にすると、姿を消した。二人は周囲に警戒した。直後、リックの後ろで男が姿を現した。男はリックに降り掛かった。瞬間、リックは気配を感じ、振り返った。

 我に返った時には遅かった。瞬時に反応したイアンが血を流していた。


「イアン!」

 リックは叫んだ。だが、イアンは笑っていた。

「俺は大丈夫。痛くない」

 イアンの眼は充血したように紅く、開いている口から鋭い牙が見えた。イアンは男に向き直り、威嚇するように睨みつけた。

「お出ましか。まさか、人間を庇うとはな」

 男は驚いていた。それもそうだ。ヴァンパイア化すれば、自我が保てなくなると云われているはずなのだが、イアンは自我を保ってヴァンパイア化している。

 男はイアンに襲い掛かる。イアンもそれに対抗し、襲い掛かった。両者譲らない戦いが続いた。


 リックは悲しい顔をしている。リックにとってはイアンが無理をしているような気がした。

「どうした? 息が上がってるようだが。やはり、自我を保つには限界があるようだ」

 リックの目は間違っていなかった。イアンは何かに耐えるように苦しみながら戦っていた。それでも、イアンは戦いをやめなかった。

「イアン! もう、やめて!」

 戦いに加勢出来ないリックは声を上げた。イアンはリックの方を振り向くも手を止めない。寧ろ、尚更無理をするように力を込めた。すると、男に傷が付いた。一瞬の出来事だった。

「まさか、力が上がるとは。イアン、御前はこちらの仲間になるべきだ」

「何度も云う。俺は、戻らない。たとえ、自我がなくなっても」

 二人は戦い続ける。鋭い爪、拳、蹴りが繰り返される。終わりの見えない戦いがリックの視界を映す。そんな時だった。イアンが大きく唸り声を上げた。

 次の瞬間、イアンが大きく鋭い爪を振りかざすと、男が地面に倒れた。一瞬の出来事だった。地面には大量の血が広がった。イアンは自我を失い、暴走していた。

次話更新は10月29日の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ