表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女リックと月夜より現れし者  作者: はなさき
第三章 思いは心の中に
15/24

十四話 打ち砕かれる少女の気持ち

 ランスとサンが旅立つ時がきた。ランスは平気な顔をしているように見えたが、サンは少し機嫌が悪そうに見えた。その理由は直ぐに分かった。

「サン、そんな顔をするな。リックは兄さんに任せただろ」

 不機嫌な顔にランスは違和感を覚え、言葉を発した。

「いや分かってるんだけどさ、リックに何かあったらと思うと、イアンと行かせたくねぇな」

 サンはランスの言葉に応えると、イアンをじっと睨みつけた。イアンは申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、リックの気持ちは変わらなかった。もし、今更独りにしてほしいと云えばリックは駄々をこねる子どものようにはしゃぐだろうとイアンは思った。

「リックなら大丈夫。そうでしょ?」

 ランスはリックを見ながら問い掛けた。リックはにっと笑った。

「うん! イアンと居れば何があっても大丈夫」

 サンは溜め息を吐いた。これ以上、心配しても無意味だと感じた。


「僕も行きたかった」

 ジャックは小さく呟き、俯いた。実をいうと、ジャックも旅立つ事になった。リックが云うには、このままパンプだったら連れていくつもりだったらしい。だが、ジャックだと分かると、信用していいのかリックの中では悩んだ。悩んだ末、出した答えがジャックと一緒に行かない選択だった。ジャックは悔しがるもリックの言葉に従った。

 サンとランス、ジャックは二人に別れを告げ、その場を後にした。


 二人が居なくなった後、イアンはリックを見て苦笑いした。リックは頬を膨らませていた。

「先に云って置こう。もし、俺に何かあったら、その時は……」

 不意にイアンは言葉を口にするが、途切れてしまう。イアンはリックを見やった。イアンにとってはリックが悲しい顔をしている気がした。悲しいことを云わないで、と訴えている顔で。

 暫く、二人の間には重苦しい空気が漂った。


「ねえ、さっきの言葉ってどういう意味?」

 リックの声が沈黙を破った。イアンは問いに答えず、黙っている。リックは不思議に思い、イアンの顔色を伺った。

「もし、俺に何かあったら、その時はリックの手で殺めてほしい」

「嫌だ! 私、イアンを殺したくない。その為に討伐隊に入ったんじゃないもん」

 リックは寂しげにイアンを見つめた。リックにとってはイアンの言葉に従うのにはまだ幼すぎた。イアンは申し訳なさそうに見つめ返した。リックの頭を優しく撫でた。

「俺が悪かった。でも、リックを守るためなんだ。分かってくれるかい?」

「私の気持ちはどうなるの? 私はイアンとずっと一緒に居たいよ」

 イアンは問い掛けるも、リックは聞く耳を持てなかった。リックが幼い頃、イアンはリックと一緒にいる事が多かった。とても身近な存在。受け入れるのには時間が掛かるだろう。リックは耐えきれず、イアンに抱きつき涙を流した。イアンは何度も頭を撫でた。そうして、一夜を過ごした。


 翌日、イアンの怪我が治った事もあり、目的地へ出発する事にした。敵に見つからないように、慎重に行動しなければならない。イアンはフードを深く被り、辺りを警戒した。

「何度も云うかもしれないが、何か感じたら知らせてほしい」

「分かってるって。で、どう移動するの? 普通に歩いてたら気付かれるでしょ」

 リックは口にしながら、杖を振り箒を出した。リックには予想できた。イアンがまた自分を抱えて飛ぶことを。

「俺が、リックを抱えて、」

 リックは既に箒に跨っていた。イアンは戸惑い、リックを止めようとする。

「イアンが何を考えてるか分かっちゃう。子どもじゃないんだからね」

「いや、まだ子どもだ。参ったな」

 リックの言葉に困り果て、頭を掻く仕草をするイアンは仕方なくそっと歩き出し、先を進む事にした。その姿を見たリックは箒から降りてイアンについていった。

 この先どうなるのか全く予想出来ない二人はただただ目的地に向かった。


「アレはもしや。ふふふ、見つけた」

 誰かが遠くで二人を監視するように見ていた。

次話更新は10月25日(月)の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ