メドゥーサ(ナーガ)を倒したら二人の子どもができました①
途中で視点が切り替わりますのでご承知おきください。
「端的に言うと魂葬したはずの魂が二人の子どもになりました」
「ああ、うん。端折りすぎ」
意味が分からないということだけは伝わった。
アルカはこちらが促さない限りこれ以上説明は不要と考えているらしく、言葉を続ける姿勢は見受けられない。
仕方がないのでネネに視線を送ると、「俺も知らねぇ」とでも言いたげに目を逸らされた。
「何があったのか一から説明してくれる?」
「承知しました。あれはある晴れた夏の草原で」
「待って何の話?」
「メドゥーサと戦った時のことです」
いったい何の話をしているんだ? アルカの前世?
いやいやいや、アルカの生前の世界にメドゥーサなんてのは存在していないはずだ。少なくともフィクションの外には。
そもそもメドゥーサってなに?
目を合わせたら石化するとかいう蛇の化け物と同じやつ?
「同じやつです」
同じやつだった。というかこいつこの前もそうだったけど、ナチュラルに心で思ったことと会話してくるよね。
普段の思考をオープンにしている俺のせいだから別にいいっちゃいいんだけどさ、なんというか節操というものがない。
「天使に人権などないのでは?」
まったくもってその通りだ。誰だよそれ教えたの。……俺か。
「話を続けますね」
うん。もう余計なツッコミはやめよう。話が進まない。
「私たちは魂葬のために警報にあった座標へと向かいました——」
◇アルカ視点◇
こんにちわ、こんばんわ、おはようございます。あなたの雇われ見習い天使のアルカです。〇話ぶりですね上位存在の皆さま。
え? いつもこんなふざけた挨拶をしているのかって?
そんなことはありません。私視点の過去回想がありそうだなって思った時にしか言っていないので、言い逃す時も多分にあると思いますよ。
話数まで把握している説明になっていない?
ご安心ください。話数はてきとうです。作中劇におけるメタ認知での対話って、わくわくするじゃないですか。ちょっとした好奇心というやつですよ。
それはそうと、私とネネはレギオン出現の報せを受けて、出現地点付近までやってきました。
「いねぇな」
「いませんね」
辺り一帯は変わらず真っ白な空間が広がっており、魂一つ見当たりません。
どこかへ移動してしまったのでしょうか。それとも誤報?
だからといってこのまま帰るわけにもいきません。
誤報なら誤報であった証拠を、そうでないなら最低限周辺の探索をしなければなりません。はぁ、なにやら面倒事の予感がします。
「ネネ、二手に分かれましょう」
「大丈夫なのか?」
「何か不安なことが?」
「相手の力が分からねぇんだ。戦力分散は悪手だろ」
ネネにしてはもっともな言い分ですが、ことレギオンとの戦闘においてそれは、あまり意味をなさないと私は考えています。
私の能力は格上にはあまり通用しませんし、通用する格下なら心配する必要もありません。
対してネネの能力は攻撃能力こそないものの、格上格下両方と泥仕合ができるので、単独行動でも早々にやられるということはないでしょう。
どの道格上が相手であるならば、ルメル様を召喚しなければいけません。
それなら効率的な探索をすることこそ優先順位が高いというもの。
つまり、二手に分かれるとはそういうことです。
「まぁ、言いたいことは分かったけどよ。俺はルメルの旦那呼べねぇぞ」
「大声で呼べばいいんじゃないですか?」
「んな原始的なことして来るわけねぇだろ」
「じゃあせいぜい見つかりやすいように派手にやられてください」
「やられる前提かよ。お前らが来るより先に魂葬してやるよ」
「そんな……短い付き合いでしたが、楽しい日々でした」
「俺じゃなくてレギオンだっての」
「では参りましょう」




