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次の日は朝から冒険者ギルドに向かうことにした。
まずは周辺のダンジョン情報を集めよう。
「左に行って中央広場にあるってさ」
宿の人から聞いた情報でフロッサが先導してくれる。
――昨夜我が家で開催されたカレー祭りは皆から好評だったようだが、本人だけが首を傾げながら食べていた。どうも想定していた味にならなかったらしい。
話を聞くに『にんにく』という臭い野菜が入っていないせいで味の厚みが足りないとのことだが、臭いものを投入して大丈夫なのか私としては半信半疑である。止めるかどうかは発見して嗅いでみてからの判断だな。
「左奥にある大きい建物――あれかな?」
様々な方角からの道が集まる中央広場。つまり色々な区画の先端部が集合しているわけだが、その内の1本を丸々占拠している大きな建物が見えた。あれがこの都市の冒険者ギルドであろう。
ダンジョン内建造物なので材質は怪しいが見た目は石造のしっかりした建物である。
中に入ると、他の街と同じように広いホールと多数のカウンターを備えた普通のギルドのようだ。まるでダンジョンが『冒険者ギルドとして使って下さい』と用意してくれたかのようである。不思議なこともあるものだ。
「受付カウンターは――あそこだな」
受付に向かうと、空いている窓口に座っているのは兎の獣人であった。メリル達以外には初めて見たかも知れない。珍しいな。
「おはようございます。冒険者ギルド、デュラム支部へようこそ。初めての方ですか?」
おお、丁寧な対応だ……。ウチの従業員は良く言えば質実剛健なタイプなのでとても新鮮である。
「リステリアから来たところだ。この子を鍛えるのに適したダンジョンを探していてな。良ければ情報をお願いしたい」
「かしこまりました。まずはダンジョンに慣れるところから、でよろしいでしょうか?」
「そうだな。急いではいない」
兎獣人はカウンターの下からゴソゴソと地図を取り出して広げてくれた。
「それでしたら――こちらですね。門に程近い場所にございます通称『肉ダンジョン』がオススメです。破壊もボス討伐も禁止されている有用なダンジョンではあるのですが、難易度が低く同年代の子たちも多いですので、仲良くなって混ぜてもらえばパーティ戦闘の経験も可能です」
あとお肉が美味しいです! と目を輝かせながら力説する。
兎獣人なのに肉もいけるらしい。そういえばウチの羊獣人も普通に肉を食べていたな。その辺りはあまり関係ないのかも知れない。
「とりあえずそこに行ってみるか?」
「いいけど、私優先でいいの?」
「何がヒントになるか分からんからな。どのみち手探りならば、毎日何かしていた方がいいだろう」
私たちの会話を聞いて受付嬢が不思議そうな顔をした。
「何か他にも目的が?」
「ああ、『噂のアイテムが実在するか調べてほしい』と頼まれていてな。何の手掛かりも無く期限も無い手探り案件だ」
「どのようなアイテムかお伺いしても?」
「人工的にダンジョンを作れるアイテムだそうだ」
「……危険な思想に聞こえますが、大丈夫なんですかそれ」
「生徒の教材に使いたいらしいぞ」
「そういうことですか。申し訳ないですが特に具体的な情報はございません。そういうものがあるという噂は確かにありますけど……」
「ほう、あるのか。現地の人がそう言うなら少しは可能性があるのかも知れんな」
「噂だけですからね?」
まぁ、何も無いよりは良いだろう。




