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「――ふう。ありがとう、元気出てきた」
飲み終わった空き瓶を受け取り空間収納に放り込む。帝王は元気になったが、これを何度も続けるのは恐らく体に悪い。できれば早く倒してしまいたいところだな。
「うわぁ――再生能力もあるんだ……」
つられて多頭竜の方を見ると帝王が切断したはずの左端の首が急速に再生していっているところであった。
普通は首を落とせば死んでしまうので、再生するところを見るのは彼も始めてに違いない。もちろん私も初めてである。
「さて、どう動く? 天竜の牙は空間収納を破壊できるようだが――」
空間収納の縁に噛みついていた2本の首たちは、私の展開していた収納の入口の破壊にもうすぐ成功しそうだ。
「あれ? ポンさん『空間収納』って呼んでるんだ? 僕のは空間魔法の『貯蔵庫』なんだよね」
む、そうなのか。……その情報は今必要か?
――いや、明確に違う点があるな。
私の収納は技術的なものであり、帝王の貯蔵庫は魔法である。
つまり同じように見えるが全くの別物であるかも知れない。
「テオ。確認だがお前の貯蔵庫には何か制限があるか?」
確か魔王城で魔法を封じられた際、帝王の貯蔵庫は使用できなくなったが私の空間収納は使用できた。単に『魔法だから』だと思っていたがどうだろう。
「それ国家機密だね……。でもあんまり制限ないから教えるけどさ」
帝王は非難するように目を細めて私を見る。確かに帝王の能力は最高機密レベルの話だな。気軽に訊いてしまって申し訳ない。
「貯蔵庫に容量の概念は無いよ。――でも生きている動物は入れられない、っていう制約があるね」
「『生きている動物』? 妙に限定的だな」
「たぶん術者本人が入ってしまうと困るからじゃないかな? 入れた直後に時間が停まる仕様なんだよね」
「なるほど……」
術者本人がうっかり入ってしまうと永遠に出て来られなくなってしまうということか。
だからといって生きている動物を丸ごと全部制限してしまうというのも大雑把な話である。別に本人だけで良かろうに。
「ポンさんの『空間収納』は制限ないの?」
「アレはただの穴だからな。そのような制限は無い。時間も、停めなければ停まらないぞ」
「やっぱりそんな感じなんだ? ――あっ。じゃあアレ、丸ごと入ったりしない?」
「丸ごと?」
帝王が指さす方を見ると、態勢を立て直した多頭竜がこちらを向こうとしているところだった。
「ああ――そういうことか。まぁ、頑張ればいけるのではないか?」
この場で倒さねばならない気持ちで居たが、隔離してしまって後から空気を抜くなりすれば確かに簡単に倒せそうである。情報共有程度の話題だったが、意外と打開策まで到達するものだな。
「じゃあその作戦でよろしく。僕が囮になるよ」
帝王はそう言うと高速移動を開始した。回復しただけあり軽快なものである。
さて、私の方も頑張らねばならんな。




