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「――僕もさすがに天竜を相手するのは大変なんだからね?」
「いや済まん。必要ないかと思ってな」
「そんなわけないよね、もぅー……」
放っておかれた帝王はお怒りである。
左に居た方の天竜は私も協力して倒した。
遠くから顔面めがけて魔力球を大量に飛ばし、怒らせることでブレスを誘発。
そして私がブレスを空間収納で無効化している間に帝王が何やら強い攻撃を当てたことで天竜が霧散したという流れだ。
魔力石しか出てこない私と違い、帝王が倒したことで爪のようなものが落ちていたが、嬉しそうに空間収納に仕舞っていたので使う予定があるのだろう。
彼の2本ある剣の内の1本を破壊したのは私なので、その辺りに関しては責任を感じなくもない。私も少し爪が欲しいが今回はやめておき、また連続して天竜が出るようなら譲ってもらえないか交渉してみよう――。
「それより、次があると思うか?」
頑張って話題を変えた私を見て、帝王は仮面の奥から覗いている目を細めた。
「むむっ。……ちょっと強引だけど乗ってあげよう。――正直に言うとこれで終わりじゃないと思う」
「その心は?」
「ほら、空が少しずつ暗くなっていってるでしょ? 無理して魔獣を生産している時ってこんな感じなんだよね」
言われてみると、確かに都市全体が先ほどよりも薄暗い。こういうのは住民を不安にさせるのでやめて欲しいところである。
「――とはいえこの段階まで来たなら、さすがにもう次が最後かな? もうひと頑張りだよ……!」
もしかすると帝王は何度かこういう経験があるのかも知れない。
励ますようにそう言うとにっこり笑った。
――――待つことしばし。
完全に超大型魔獣の出現場所として利用されている2階層ロビーの方に大きな気配が生まれた。
先ほど2体の天竜によって崩された大階段の屋根は損失したままだが、瓦礫などは天竜の巨体により外側へと追いやられて1階層の広場に散乱している。
つまり2階層ロビーは満遍なく利用できる環境である。
「ダンジョンは天竜以上の魔獣を生産できるのか?」
「――どうかな? 遭遇したことは無いね」
帝王の経験上では天竜が最高位らしい。
追い詰められた状況下であれば最高位を繰り出すであろうし、天竜以上の魔獣が出てくる可能性は低いと見て良さそうだ。
さて、次はどう倒そうか――。
私が長めの槍の作成を検討していると、状況が動いた。
巨大な穴と化している2階層への階段から勢いよく天に伸びる4つの柱が出現したのである。
「えっ!? なにあれ!?」
むう、あれは柱ではないぞ――。
不自然に長い首とその先に付いた竜の頭部が4つずつ。
窮屈そうに階段から這い出る巨体は1つだけ。
自然界に実在するかは分からないが、多頭の天竜が姿を現そうとしていた。
「ええ……大きなダンジョンだとこういうこともあるんだね……」
帝王の納得の仕方が独特である。
無理矢理にでも事実を認め、現実逃避しない癖がついているのであろう。
ふむ――鎧を装着していないので槍を作成する必要がなさそうではある……。




