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受けには挑戦せず高速飛行で後方に回避。
剛腕の一撃は中央広場の石畳を粉砕するだけでなく3本の巨大な裂孔を残した。
空間干渉に対策せずまともに受けたらあのようになるわけだな……。
凶悪な威力に眉を寄せつつ回避を継続。続く左腕の振り下ろし、噛み付き、尻尾の振り回しを順に避けていく。
威力が高いので混同しがちだが、速度はあまり高くないので攻撃の質としては今ひとつかも知れない。
もちろん一般的な軍隊などであれば瞬く間に全滅するような類いの攻撃ではあるのだが、私にとっては特に問題ない程度で収まるようだ。
よってそろそろ回避を継続しつつ攻撃に転じよう。
――振り回される前腕を掻い潜って肉薄、首元の鎧部分に大斧を叩き付けた。
爪と衝突した時のような激しい火花が散り、大斧の刃が筒状の鎧の表面を滑る。予想はしていたが生半可な材質ではないようだ。ダンジョンめ……。
先方からすれば対策を取るのは当然である。恨み言を吐いても仕方ないので意識を切り替え、まずは攻撃回数を重ねれば破壊できるような代物なのか試してみるとしよう。
高速飛行を続けつつ、天竜の攻撃を回避する毎にお返しとばかりに首を覆う鎧の破壊を試みていく。
1回、2回、3回と叩きつける度に威力を上げていくのだが一向に破壊できる様子が見られない。
これは厳しい――。
む? いや、よく考えてみたら別に首に固執する理由は特に無いのでは……。
確実に撃破できれば何でもいいな。
――そうと決まれば、まずは天竜の油断を誘う。
首元に執着する行動を継続しつつ、噛み付き攻撃を待った。
天竜が疑う様子なく全力の噛み付きを披露し、首の可動域を使い切ったタイミングで行動を切り替える。
これ以上曲げられない地点まで首を運んだ天竜は、どうしても一瞬停止せざるを得ないのだ。
まるで包丁のように尖っている大斧の先端を天竜に向け空中を高速で突進。
硬直のため回避に失敗した天竜の右目を貫き、大斧を手元まで埋め込む。
――――ぶわりと広がる大量の黒いモヤ。
どうやら脳幹部分の破壊に成功したらしい。
失敗していたらもう少し長いものを作成する必要があったので助かった。
いや、その場合は槍にした方がいいか……。
「――ポンさん早いよ!? 僕の方まだまだなんだけど!」
私が反省していると帝王から苦情が来た。
……競争していたわけでなし、別に良かろうに。
見ると帝王と相対している方の天竜は全身傷だらけである。
どうやら頑張って地道に削る作戦だったようだ。
とはいえ相手は超大型魔獣、表面的にはボロボロでも動きに衰えが見られないほどにはまだまだ健在の様子。
もちろん帝王の方は無傷である。さすが冒険者の頂点に居る者だ。
手伝う必要は――無いな。
『まだ時間はかかるが単独撃破できる』というニュアンスの発言だったので、助力は逆に失礼というものだ。今の内に魔力石を拾っておこう。
「――別に手伝ってくれても良いんだよ!?」
魔力石を回収したあと大人しく見物していたら抗議された。
おや、そうだったか。邪魔したら悪いかと思っていたぞ。




