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まずは飛行の魔術で宙に浮く。
そして高速飛行に切り替えつつ大きく右側に膨らむルートで接近を図った。
狙い通り、先に到達した帝王が左の天竜の翼を傷つけ注意を引く。
――これで各自1体ずつ相手をする態勢が整った。
右の天竜が大きく口を開く。
……やはりブレスに頼るか。
収束していく光を見つめながら苦々しい気持ちになる。
彼らの行動を否定できないくらいに強力無比なのが困ったところだ。
さて、先ほどの戦闘で思いついたことがあるのだがぶっつけ本番で試していいものか……。いや、迷っている暇は無いな。
放たれた超熱線が私に到達する直前。
――私は眼前に空間収納の入口を展開した。
天竜からはブレスが私に直撃したように見えているであろう。
しかしブレスは空間収納に吸い込まれ、どことも知れない空間を貫くのみである。
確かブレスにも空間干渉力があったはずだが、それも何かにぶつからなければ破砕及び貫通能力を発揮することができない。要は空振りさせればいいのだ。
ふむ――案外上手くいくものだな。
空間収納を扱える者にしかできない芸当ではあるが、ブレスを無効化できるとなると大きく討伐難易度が下がるはずだ。
「――ポンさん何それ!? 反則じゃない!?」
「テオも真似してみたらどうだ」
反則も何も、そもそもルールなど無かろうに。
便利に使えるものは使えばいいのだ。
「ええ……。結構難しいよそれ……」
わざわざ近くに来てまで抗議する帝王を追い払い右側の天竜に集中する。
ブレスを終えた天竜は、射線から無傷で現れた私を見て混乱している様子。竜の顔で驚愕を表現できるとは存外器用である。
私は空間収納から大斧を取り出し発光させた。ここからが本番だ。
ブレスを無効化できたとて、こちらの攻撃も通らないならば結局は意味がない。
再びブレスを放つかどうか迷っている様子の天竜に高速接近。
ブレスに効果が無いとなると、それ自体が大きな隙を晒す動作にしかならないことを意味する。彼らの知能は戦略を考察できるほどに高いらしい。
振りかぶった大斧が迎撃する天竜の爪と激突、一瞬視界を覆うほどの激しい火花が散った。
――むう、『何でも斬れる』くらいの性能を持つ今の大斧と拮抗するとは天竜の爪はどうなっているのか。今までの常識が通用しないことばかりで天竜には度々驚かされるな。
どうやら互いにびっくりしたらしく激突の勢いのまま一旦離れて睨み合う。
天竜の爪にも帝王の剣と同じく『全てを切り裂く』効果があるということであろう。むしろあの剣の材料だったりするのではなかろうか。
……何とか採取できればフロッサに剣を作ってやれるのではないか?
確かスパスパ斬れる軽い剣が欲しいとか言っていたが――。
――いやいや、欲をかいてはいけない。集中しよう。
気を取り直したらしい天竜は地鳴りのような咆哮で仕切り直すと、上体を振り上げ躍り掛かってきた。
爪の鋭さだけでなく単純な質量としても脅威だが、爪の辺りが霞んでいるのを見るに恐らく空間干渉力が攻撃に乗っている。
不利とまでは言わないがまともに戦うとなると本当に厄介だな……。




