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今度は最初から4層に障壁を展開、天竜のブレスを都市の天井に受け流す。
視界は白い闇に塗り潰され、障壁がヒビ割れ順番に砕け散っていく不吉な音だけが情報として伝わってくる状況だ。
――先ほどよりも破砕されるペースが早いような……?
気になって障壁を2枚増やしてみると、案の定4枚では足りなかった。
どうやらブレスの威力は均一ではなく、頑張れば上げられるような代物だったらしい。そういう事は前もって教えて欲しいものだ。
ブレスが途切れた瞬間を見計らい空中へ。
狙い通り私を照準していた天竜の首が上向きになった。
よし――これで背後を気にしなくて済む。
私の位置を無視し、民衆を人質に取るような撃ち方をされたら私も身動きが取れずに困ったはずだが、そこまでの悪知恵は働かないようだ。
私は空間収納から大斧を取り出すと、刃の部分から先端を通り柄を辿ってまた私に戻るよう魔力を高速循環させる。芸の幅が無くて申し訳ないが前回と同じく大斧の出番である。
高濃度の魔力により柄の側面に細長く並んだ刃の部分が強い光を放った。
――大きく開かれた天竜の喉奥に光が灯る。
即座に転移門を作成、放射の瞬間を見計らって天竜の首元に移動。その勢いのまま大斧を天竜の首に叩き付ける。
「――ギャオォォォォ!!!?」
一体どこから声を出しているのか、ブレスを放出しながらも苦悶の絶叫を上げる天竜。まさか切断できないとは思わなかった。魔王城の時の個体とは体格が違うらしい。
そういえば帝王も例の『何でも斬れる剣』では刃渡りが足りず厳しいかもと言っていたな。
首の3割近くまで埋め込まれた大斧は今も少しずつ斬り進んでは居るのだが、刃の両側から挟み込まれる力が強く抵抗されてしまっている。当然斬られている側からすればたまったものではないのだろう、ブレスを継続したまま暴れ始めてしまった。
都市の天井を舐めるように大熱線が焦がしていく。首に刺さった大斧を振り払おうと身を捩っているのだ。
ぬう、頭を下げさせるわけにはいかない……!
低い位置に巨大な棒状の位相差障壁を作成し無理矢理座標を移動させると、ぶん殴る要領で天竜の頭をカチ上げる。そのまま上向きを維持させようとするも干渉が始まったのか棒状の障壁が崩されていった。
――ならばこうだ。
天竜の頭部がすっぽり収まるほどの大きさで空間収納の入口を展開、そしてブレスの放射が続く頭部に空間収納を被せ、とにかく都市への被害を回避する。
頭部が収納の穴に引っ掛かり天竜の動きが制限された隙に、私は空中を蹴り天竜の首をぐるりと1周大斧で切り裂いた。3割食い込んだ状態を保持しつつであったのでそれが致命傷となったのだろう、大量の黒いモヤと共にやっと天竜が消滅する。
頭部が突っ込まれていた穴を閉じ、大斧も別の空間に放り込む。
これでしばらく静かになるだろう。やれやれ……。
「――うおおおッ! 竜殺しだッ!」
「すげえ! すっげぇぇぇ!」
浮いていた私の足元に冒険者たちが続々と集まって来た。
絶望的な強敵の出現とその撃破に大興奮の様子である。
……魔王城の時を考慮するに、天竜の生産は短時間に連発できないとはいえ一応まだ危険が去ったとは言えない。気を抜かないで欲しいものだ。




