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――氷の槍を作成、投射。
――氷の槍を作成、投射。
――氷の槍を作成、投射。
単調だな⋯⋯。
階段部分に押し出されてきたタウロスが溜まってきたら倒していくだけの作業になってしまっている。
と、いうのもタウロスは見上げる動作というものをあまり行わないらしく、どこから攻撃されているのか良く分かっていないようなのだ。
よって興奮状態になっても反撃対象を見つけられず、首を傾げながらすぐに沈静化している。
斜め上からならば攻撃し放題とは新しい発見かも知れない。
しかし最前線に行くと宣言してコレでは格好がつかないな⋯⋯。
「見ろ! スケルトンが混ざり出したぞ!」
私が要らぬ心配をしている内に状況が少し変わったようだ。
隣で叫ぶ冒険者の指す先を見ると確かにスケルトンが居た。
そしてタウロスの肉の圧に負けたのか潰されて黒いモヤと消える。
『⋯⋯』
戦慄の様相でスケルトンを指さしていた冒険者から表情が消えた。
手応えの無さに拍子抜けしてしまったのだろう。彼は無言で次の矢を番え放っていた。気持ちは分からんでもない。
「――オーガだ!」
またしばらく氷の槍を撃ち込み続けていると状況に変化が起きた。
やはり単調なままでは終わらんか。
見るとオーガ兵ではない普通のオーガが混ざり始めたようだ。上の階層から順に出てきているらしい。
ダンジョン側の意図は不明だが、これをずっと続けるなら敵がどんどん強くなっていくわけだ。
むう――あまりダンジョンを刺激しすぎて超大型を出されると都市への被害が出かねないと思っていたが、順当に魔獣の強さが上がって行き下層の手強い敵が山ほど出て来るのもそれはそれで困るな⋯⋯。
私は1歩前に出て雷撃に切り替えると、見る見る内に視界の占有率を増やしていたオーガたちを一掃する。
「うおっ! 大きな音を出すなら言ってくれ!?」
おっと。弓矢の人を驚かせてしまったようだ。
もう少し溜めてから撃つべきだったな。これは申し訳ない。
――そうして私が謝罪している間に階段の下で異変が起きたようだ。
狙いをつけていた冒険者たちが構えを解いたのである。
「おい。後続が突然消えたぞ。全部黒いモヤになっちまった⋯⋯!」
そんなことがあるのかと私も見遣ると、モヤの方は溶け消えてしまっていたが確かに後続の魔獣たちが全く居ない。
「大量発生が収束したのか⋯⋯?」
「いや、こんな終わり方聞いたことないぞ?」
ざわめく冒険者たちの1歩前の位置で私は考える。
これは⋯⋯明らかに方針転換だ。
数による力押しを無理だと判断して別の方法に切り替えたのだろう。
つまり、私がここに居ることがダンジョン側に察知されたと見るのが恐らく正しい。雷撃魔術を目印にされてしまったか⋯⋯。
いや、不手際を反省している場合ではない。
次にダンジョンが繰り出してくる手に対処せねば――。
「おい、あれは何だ⋯⋯!」
冒険者の誰かが叫ぶ。
見遣ると階段の下に今までとは明らかに異質なモノが見えた。
階下に見えているのは白い腕。
白銀に光を照り返す鱗に覆われた、黒く鋭い巨大な爪を備える腕だった。
あれは――見覚えがある。
確か魔王城の最後に出てきた竜種があのような腕をしていたはずだ。




