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そのように暇潰しをしていると、おもむろに2階層への階段付近が騒がしくなってきた。
見ると偵察に入っていたらしい冒険者たちが階段を上がって何組か出てきているところであった。様子としてはやや慌てているように見える。
「おや。始まったようだな」
「うわぁ、大量発生かぁ⋯⋯」
事態の変化を感じ取り私は立ち上がった。
一方マーガレットは気が進まない様子。眉根を寄せてしまっている。
まぁ、余程の戦闘狂でない限りは一般的な反応である。
「私が最前線に行くから大丈夫だ。討ち漏らしの処理に集中してくれ」
「頼もしい⋯⋯! よろしくお願いします! サポート頑張ります!」
私はよろしく頼むと言い残して走り出した。
手遅れかも知れないが、現段階ではあまり目立ってダンジョンを刺激しない方がいいだろう。自棄になられても困る。
――いよいよ大詰めだ。意思を持ったダンジョンの計画を潰し、都市に住まう人々の安定を取り戻さねばならない。
確か別の用事で訪れたような気もするが後で思い出そう。
目視できるほどの距離なのですぐに階段前まで到達する。
情報を取りまとめる係の冒険者ギルド職員がその辺りに居るはずである。
――職員は制服を着ているので目立つな。
「情報をくれ。大量発生したのはどの魔獣だ?」
「タウロスです! ですが後続がありそうな雰囲気だそうです!」
どんな雰囲気なのかは全く伝わって来なかったが、とにかく一筋縄ではいかないことだけは分かった。現場は混乱している模様。
「了解した。ランク7のポンだ。――私が最前線をやる」
そう言って階段に入る手前まで進む。そして大量の氷の槍を頭上に生成していった。
次いで照明代わりに光球を数個作成し、階段の中へと飛ばし座標を固定する。
――整列していない角の影が多数揺れているのを確認。
情報は合っているな、あれはタウロスだ。
非常に広い横幅を持つ2階層への階段。
整列していないにも関わらず、その階段の横幅を埋め尽くすことで隙間が無いので、彼らは結果的に戦列を維持できているようだ。
これは進軍というよりも押し出しているという表現が妥当である。
まだ残っていたのか、そのタウロスたちから逃げるために数名の冒険者たちが階段を駆け上がっていた。
「分かっていたけど最後に階段はキツイ!」
「ぼやいてねぇで足動かせ! 冗談抜きで死ぬぞ!」
「ぬあぁぁぁ! もうちょいぃぃぃ!」
どうやら限界が近いようだ。
⋯⋯まぁ放っておいても根性で辿り着くとは思うが、彼らに刺激されている数体が興奮して追いかけてきているので援護してやった方がいいだろう。
私の両隣に数名の冒険者が並んだ。
皆弓矢を持っているので初撃を担当するために集まっていたのだろう。
せっかくなので呼吸を合わせて一斉に投射を開始。
高速で射出した氷の槍が貫通していき多数の敵影が霧散する。
冒険者を追いかけていたタウロスたちも矢を浴びて消えたようだ。その隙に冒険者たちは生還を果たした。
きっと生きた心地がしなかったことだろう。彼らの心情を表すかのように、全員がまるで笛の音のような絶え絶えの呼吸であった。お疲れ様だったな。
さて――さすがにもうあの中に残っている冒険者は居ないだろう。
当たるに任せてどんどん攻撃していこうか。




