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「――そうだ。昇格祝いに何かやろう」
今までより深い階層に潜るなら回復薬なども必要だろう。幸い在庫は不思議な位の量があるので特に問題ない。
「えっ、いいんですか? じゃあスキルオーブを――なんちゃって!」
お、おお⋯⋯驚いた。冗談か。
私が大量に持っていることを把握しているのかと思ってびっくりしたぞ。
しかしそうか⋯⋯冒険者なら欲しがって当然ではあるな。
動きを止めてしまった私を見てマーガレットは慌て出した。
「うわごめんなさい! 冗談ですよ!? さすがに厚かましすぎますし! 怒ってます? ごめんなさい!」
ううむ⋯⋯。オーガが落とした大量のスキルオーブの中に『剛力』『怪力』あたりは確実に入っているだろう。
ならば元々持っていた鑑定済みの手持ちは別に放出しても大丈夫だな⋯⋯。
「――ああ、すまんな。驚いただけだ。怒ってはいない。私が持っていることをなぜ知っているのか、などと少々混乱してしまったようだ」
「本当に持っている人に言うとそういう反応になるんですね⋯⋯気を付けます⋯⋯」
もしかすると低ランク冒険者間では定番の冗談なのかも知れない。『持っているわけがないだろ』と笑い合う姿が簡単に想像できる。
「ではせっかくだからスキルオーブにするか。ちょうど余っているのがある」
「スキルオーブって余ることあるんですか⋯⋯?」
そのまま愛用してくれているらしいリュックを借りると、中に手を入れて空間収納を開く。そして人目につかないようにしながらスキルオーブを2個投入しておいた。
「『剛力』は力が3倍になるスキル。『怪力』は発動時に一瞬だけ、更に3倍になるスキルだ」
「ににに2個!? い、いいんですか? 代金払えませんよ!?」
「昇格祝いと言ったであろう。気が変わらない内に使ってしまえ」
リュックを受け取ったマーガレットは中身を見て真っ青になってしまった。
人気のあるスキルらしいからな。価格が脳裏を過ったに違いない。
「うう、なんか取り返しのつかないことをした気が⋯⋯。でも、ありがたく使わせてもらいます⋯⋯!」
スキルオーブが欲しいこと自体は本当だったのだろう。何やら葛藤していたが、結局は欲望に負け使用していた。
「良かったな。今後の活躍に期待する」
「ありがとうございます⋯⋯いや絶対貰いすぎですよコレ。いつか何かしら恩返ししますからね」
「別に恩返しなど必要ないが――では、何か珍しいものが手に入ったら優先的に売ってくれ。面白そうだったら高値で買い取ろう」
「そんなのでいいんですか? 分かりました。その際はリステリアに手紙書きます」
「1校しかない国立の魔法学園宛てに出してもらえれば届くはずだ。その近くに住んでいるのでな」
「あまり期待しないでくださいね⋯⋯?」
一緒にボス周回をした感じでは、確かにマーガレットは飛び抜けて優秀な冒険者ではないが、かと言って別に欠点らしい欠点も無い。
順当に強くなっていけば大成することも夢ではないだろう。
こういう活動がいつか面白い話を呼び寄せると期待せずにはいられない。




