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「あっ、隣いいですか? ただ待ってるのも暇で暇で⋯⋯」
そう言うとマーガレットはこちらの返事を待たず座ってしまった。
まぁ私も暇だったので構わない。
彼女たち一般の冒険者が暇を持て余しているのは、きっと私や帝王が必要以上に頑張っているからというのもあるだろう。その責任を取って暇潰しの相手をする必要があるかも知れない。
それにしても私のところに女性が寄ってくるなど、これが物語の中であれば実は送り込まれた工作員だった――辺りを疑わねばならないところだが、残念ながらマーガレットはそんな感じではない。ただの暇人であろう。
「そうだ! 私ランク5に上がったんです!」
「おや、先日はランク4だったと記憶している。昇格したのだな、おめでとう」
「ありがとうございます!」
「――この都市では昇格の基準はどういうものなのだ? リステリアとは違うのか少し気になったのだが」
リステリアとは違うも何も、私がランク5に上がった時は確かタウロスダンジョン破壊の報酬である。上級冒険者向けの依頼を女王から回されたものなので全く参考にならない。
マーガレットは少し考えると回答してくれる。
「んー⋯⋯他の街だと指定された依頼をこなして昇格、って感じらしいですもんね。デュラムですとランク5に上がるにはスケルトンの魔力石10個納品、ランク6はオーガの魔力石10個納品、みたいな感じです」
「なるほど。到達可能を証明する形なのか。分かりやすいな」
「はい。ダンジョン都市なんて呼ばれているせいで誤解されやすいんですけど、都市の冒険者の仕事って討伐に伴う採取が主な仕事なんですよね。どちらかというと漁師に近いです」
確かに。肉ダンジョンなどはその典型だな。
そういえばベテランの者たちも普通に肉ダンジョンに行っていた。依頼がそもそも納品依頼中心ということなのだろう。
あの時の彼らのように、都市の人口を支えるため採取方面へ特化していったということだ。
その代わり戦闘能力を計るのは難しくなってしまうであろうが⋯⋯。
「そのため、ランクの目安は中央ダンジョンに頼るような形になっている、とギルドの人が言ってました」
受け売りなのか。いや覚えているだけでも感心だな。
「それで、マーガレットは6階層に行ってスケルトンを狩り、ランクの証明として提出したわけか」
「そうです。あれだけ何度も戦いましたからね。練習はバッチリでした」
「他で魔力石を手に入れて提出してもランクを上げられたのではないか?」
「上げられますけど――そういうタイプのズルをする人はいつの間にか姿を見なくなりますね……」
身の丈に合わないエリアに進入した者の末路は想像に難くない。世知辛いものだ。
では彼女のためにもオーガの魔力石は渡さないでおくとしようか。
ちなみに子どもたちのランクはどんなに依頼をこなしても2までしか上がらない。制限が解除されるのは15歳からと決まっているのだ。
――とはいえ孤児院の子たちは肉を狩るので精一杯の生活だったのだから現状ランク1であろうな。




