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身内との情報共有を終えたので中央広場に向かう。
やはり顔を合わせて無事を確認するのは重要だな。
――中央広場へ向かう道には冒険者たちの姿がほとんど見えない。南門の閉鎖を確認したので次に開く門の防衛に向かったのだろう。
ダンジョンからしてみれば脅威への対処として南門を閉めたわけなので、すぐ近くを開けてしまっては意味がない。十中八九、反対側の北門が復活したことであろう。
私は飛行の魔術を発動し屋根ほどの高さまで浮かび上がると高速飛行に切り替える。比較的大通りとはいえあまり道が広くないのだ。
元々ここに南門があったわけではなく、むしろこの辺りは行き止まりの貧民街なので無理もない話ではある。
不安そうに家の扉付近から様子を覗う住民たちの姿を眼下に眺めつつ中央広場へと急ぐ。
つい私用を優先してしまったが状況としてはあまり悠長にしていられない。中央ダンジョンの大量発生はいつ再発してもおかしくないのだから。
優先順位を間違えたかも知れないと少し反省しながら数分飛ぶと中央広場が見えてきた。幸い大量発生によって蹂躙されているなどということはなさそうである。危ないところだった。
さて、対策本部の天幕に行ってトマス氏に会おう。
情報収集するなら情報が集まる場所に行くに限る。
見ると、住民たちに群がられていた即席の対策本部は落ち着きを取り戻している様子。原因を探してみると広場の反対側で炊き出しを始めているようだ。
なるほど、あちらに人が集まっているのだな⋯⋯。
「あっ! ポンさん! ――マスター! ポンさんが戻ってきましたぁ!」
天幕のところまで辿り着いたので話が早そうな兎獣人の前に着地したところ、期待通り私に気付いてトマス氏を呼んでくれた。
そういえば彼女の名前を知らないな。
「ちょうど良かった! すぐ来てくれ!」
天幕の奥の方で何やら打ち合わせをしていた様子のトマス氏が腕組みをしながら叫ぶ。きっと情報が足りずに困っていたのだろう。
本部最前列の職員たちがガタガタと長机を動かして通路を作ってくれたのでありがたく天幕の奥に向かった。
「――よく戻って来てくれた。南での活躍は報告を受けているがもっと詳しい話を聞きたいと思っていたところだ。早速で悪いが報告を頼む」
状況を把握しようにも目撃談ばかりでよく分からなかったのだろう。トマス氏は殊の外嬉しそうに迎えてくれた。
しかし彼には悪いが謎の仮面たちの正体に関しては謎のままにさせてもらう。
私にも分からなかったことにしておけば特に問題なかろう⋯⋯。
「都市の南に門が開いたところまでは把握しているな? 魔獣の大量発生だけではなく、新しく大型のダンジョンまで出現していて苦労したぞ」
「ああ、聞いている。ボス級の魔獣が次々出てきたそうじゃないか。報告では辺り一面光に包まれたところで観察を中断して撤収し、門から離れたところで見ていたら門が閉じて消えてしまったらしくてな。そこから先が分からんのだ」
駆け付けてくれた冒険者たちからの報告だろう。彼らからの視点ではその辺りが限界だったに違いない。トマス氏は顔を顰めている。
その気持ちは分かるが、そこで無理をして巻き込まれれば冒険者たちが即死しかねないほどの猛攻だったので仕方ないところである。




