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8-1

 

 フロッサの持つ迷子札から探知波を放つ。


 ――どうやら他の者たちと一緒に孤児院の前庭に集合しているようだ。

 元々は中央ダンジョンでボス周回をしていたはずだが、大量発生の際にボス部屋でも異常が起きたのだろう。戻って孤児院防衛のための作戦会議でも行なっていたに違いない。

 誰もいない座標を特定して転移門を繋ぐ。


「ポン様! 戻られたんですね!」


 私が現れたことに最初に気付いたのはメリルだ。さすが気配に敏感だな。

 私の姿を見て明らかにホッとした表情をする。


「みな無事のようだな。早速だが情報の共有をしよう」


 駆け寄ってきたメリル、アリシア、フロッサたち6人パーティーの計8名。

 その全員の顔を眺めながら頷く。

 危うく失うところだったと思うと感慨深い。またこうして顔を合わせることができて本当に良かった。






「――使い魔、ですか?」


 フロッサが不思議そうに首を傾げた。

 実例がここに居るのだが、魔法使いではない彼女にはあまり馴染みのない単語だったのだろう。


「うむ。帝王が近くに来ていた理由は、使い魔からの警告だったらしい」


 帝王の使い魔――世界神ユーフェである。


『世界神とは何だ』という問いに彼女は言葉を濁していたが、実はダンジョン関係を管轄している神だったらしい。道理で信者が見当たらないわけだ。

 フロッサの鑑定に出てくる謎の感想文辺りで気付くべきだったな。


 その世界神ユーフェが各ダンジョンの管理を行なっているのだが、あまりに力を持ちすぎたダンジョンが意思を持ち離反してしまうことがあるらしい。

 とんでもない欠陥システムである。


 今回この都市国家の中央ダンジョンが離反することをユーフェが察知し、大慌てで帝王やら創世神エルフェリアやらに相談して今に至るとのこと。

 帝王がダンジョン事情に詳しいのも、きっと世界神から情報が流れているのだろう。


「ここの中央ダンジョンが意思を持って暴れてるってことですか? 目的は何だろう⋯⋯?」


「ダンジョンは人間を倒して吸収することで力を得るらしくてな。目的はシンプルだ。中に住んでいる人間の殲滅らしい」


 フロッサの疑問に回答してやると彼女は凄く嫌そうな顔をした。


「最悪⋯⋯! それ対策しようとしてコアを破壊したら、都市の機能が全部止まっちゃうじゃないですか」


 おお、頭の回転が早いな。

 当然水の供給も食料の獲得も非常に難しくなるだろう。どの道この都市から人が居なくなってしまうに違いない。


「一応、対抗策もあるらしいぞ」


「あるんですか!?」


 フロッサが驚く。速効性のある対策を思い付かなかったのだろう。


「都市機能を残しつつ行なえる対策は2種類だ。1つは魔獣が出なくなるまで付き合って狩り続ける」


「気の長い話ニャ⋯⋯」


 アリシアが顔を顰めた。確かに全然速効性が無い。


「まぁそう言うな。もう1つとしてダンジョンの首を挿(す)げ変える方法があるらしい」


「ダンジョンの首⋯⋯ですか?」


 メリルが首を傾げるのも尤もだ。

 私も内容を聞くまで想像すらできなかった。


「うむ。――ダンジョンコアを破壊するとダンジョンは死ぬ。だが破壊せずに外に持ち出すと、台座から新しい別のコアが生まれるのだそうだ」


「ほえー。意思を持たない安全なコアが新しく生まれるってことですね。――ん? 古い方のコアを持ち出す時って危なくないんですか?」


「いや、凄く危ないな。台座から取り外そうものなら、死に物狂いでコアから直接いろいろな魔獣が飛び出してくるらしいぞ」


「めっちゃ危ないじゃん⋯⋯!」


 全員ががっくりと目線を落とした。

 さすがに現実的ではなかったか。





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