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高速飛行の魔術を解除し、帝王のすぐ側に着地した。
「ポンさんやりすぎ。ほら――大慌てで門を閉めてるよ?」
見ると狙い通り南側からの侵攻は諦めたようで、都市の門が可及的速やかに閉まっていく。よしよし、上手く行ったな。
門が完全に閉まり、その痕跡すら跡形もなく消え去ったのを確認したので、今度はフロッサたちに渡してある迷子札の位置を探ってみた。
――うむ。みな都市内に帰還している。
インベントリ内は時間が停止するとのことだったので本人たちには何の感覚も無いかも知れないのだが、無事元に戻すことができたようだ。本当に良かった。
「――保護している者たちは元の位置に戻ったようだ。協力に感謝する」
「そんなことまで分かるんだ⋯⋯? ポンさんが邪悪じゃなくて本当に助かったよ⋯⋯」
仮面をしているので口元だけとはいえ、帝王の困り顔を見られるのは貴重かも知れないな。
いや、むしろ割といつも困っていたような?
「テオ。次はどう動きますか?」
私が首を傾げていると光帝が寄ってきて帝王の指示を仰ぐ。やはり人目を憚っているのか偽名の方を使用しているな、彼女は確かレミリアと名乗っていたので合わせてやるべきだろうか。
「同じかな。――ポンさんから回復薬をもらっちゃったし、引き続き外回りの掃除を頑張ろっか!」
「承知しました」
光帝は少しだけ残念そうな表情で了承する。本心では魔力増強の作業に行きたいのだろう。
可哀想にと見ていると光帝から鋭い目線を向けられてしまった。
「それにしてもポンさん。本当にやりすぎです。ダンジョンを破壊するだけならまだしも、消滅させるなど前代未聞です」
「むう、敵側にも危機感を持たせてやろうと思ってな。頑張ればテオにも出来るのではないか?」
「すっごく頑張らないと無理だね⋯⋯」
なんだ。出来るではないか。
そら見たことかと光帝を見遣ると溜め息を吐かれてしまった。
「⋯⋯テオを基準に考えてはいけませんからね? むしろテオが苦労するということは『テオ以外には無理』という意味になります」
そうなるのか⋯⋯。まぁ、一理あることは認めよう。
私が渋々納得していると光帝が続ける。
「それよりも『ダンジョンを消滅させることができる』と先方に知られたことの方が問題です。侵攻が激化するか――少なくとも形振り構わなくなるでしょう」
私は首を傾げてしまう。
「まるで敵の正体が分かっているような物言いだな? ――確かにただの大量発生にしては奇妙だとは感じているが。⋯⋯何か知っているのか?」
帝王と光帝は顔を見合わせた。やはり何か知っているようだ。
てっきり光帝の魔力増強のために来ているものと思っていたが、もしやこの都市周辺に訪れたのには別の意味でもあったのだろうか――。
「ポンさんには共有しておいた方がいいだろうね。――じゃあ手短かに説明するよ。敵の正体と、目的について」
帝王は姿勢を正した。いつになく真剣な雰囲気である。
いや、彼はいつでも真剣ではあるな。
今まで以上に真面目な雰囲気だと訂正しておこう。




