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「ポンさん。悲しいお知らせがあります。指輪が大人用だったみたいで指に合いません……」
「指でなければダメか? ネックレス用の鎖に通してみたらどうだ」
戻ってきたフロッサが落ち込んでいたので、細い鎖と金具を懐から取り出す振りをしながら作成して渡してみる。フロッサは鎖を受け取り指輪を通すと金具を留めて首にかけた。
「いけるかなぁ……あっ、大丈夫っぽい。『効果発現中』の表示になった」
そんなことまで分かるのか。上位の鑑定とは凄いものだな。
「これでイケるんならもっと集めようかな。……でも見た目が格好悪いかも?」
「それに首周りが重くなりそうだ。集まるようなら防具に組み込む方向でどうにかした方がいい」
「あー。腰の部分とか? それなら多少ジャラジャラしてても違和感無いかもね」
お宝発掘のはずが地道な強化の話になってしまっている。だが何も道筋が無いよりはよほど朗報だ。10個も集まれば結構変わりそうである。
「――そうだポンさん。私気付いたことがあって」
「なんだ?」
「露店が全部同じシートを敷いて商売してるの」
ほう? ――おお。確かに。全て白だな……。
「で、鑑定結果はどうだったのだ?」
「なぜ分かったし。結果はね――『ダンジョン由来の防水シート』だって」
「ダンジョンが作った品物という意味か」
別に下に敷くのは木綿でも草の茎でも何でもいいはずだ。そこに統一性があるということは何らかの利点があるのだろう。
「ちなみに『ヒント:ダンジョンは吸収する対象を選択できます』っていう注釈が付いてた」
それは親切すぎないか? 本当に誰のコメントなのやら。
「ヒントを考慮すると……。ダンジョンが吸収するものを『ダンジョンに由来しない素材』と指定していた場合、ダンジョン由来のシートの上に置いてあるものは吸収されず無事に置いておける、ということになるな」
「ふぅん? ダンジョンに触れさせないための保護シート、ってこと? その法則発見した人凄すぎない?」
「実際は逆だろうな。たまたまその法則を発見したから、ここは人が住める場所になったのだろう」
「ダンジョン関係者による誘致作戦の可能性は?」
それは無い……と言いたいが、そういえば居たな。
ダンジョンに幽閉されていた人が――。
「ダンジョン内部に人を呼び込む何らかの利点があるようだからな。可能性としてはある」
「そんなのあるんだ?」
「うむ。意味不明にダンジョンに長期間囚われていた可哀想な人をついでに救助したことがある」
「うわ可哀想……。でもそれなら本当に有り得るね。販売元を遡ったらダンジョン関係者に辿り着かないかな」
「辿り着いてどうするのだ?」
「ダンジョンの作り方を聞いてみる」
それはまた真っ向勝負だな。
あながち悪くないとは思うが、商売人が仕入れ先を売るような真似をするだろうか。
過去の友人の顔を思い出すに、それは少々厳しいかも知れんな……。
「まぁ、いい機会があれば挑戦しよう。それよりそろそろ土産を選びに行くぞ」
「あっ。お土産考えてなかった。何がいいかな?」
「ご当地食材を適当に買おうかと考えている」
「いいね。目利きは任せて」
上位の鑑定スキルは本当に優秀だな……。
私の想定以上に使いこなしていて少し驚きである。




