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ボストレントからの攻撃を障壁に任せて一旦無視し、魔獣の群れへの対処を優先する。
発生した炎の壁により魔獣たちの広場に流入する勢いが緩んだ瞬間を見計らい、魔力の投入量を増やして鉄をも溶かす温度にした火球を作成する。人の身長の倍ほどもある巨大な火球だ。
雷撃による定期的な攻撃を継続しながらなので少し大変なのだが、火球を移動させて広場の端に設置する。
設置した場所から流入する魔獣は自分から火球にぶつかり自動的に討伐されるという算段である。
普通であれば迂回されて終わりなのだが、密集しているこの状況では迂回できず後続に押されて自滅する個体が続出しており、現状非常に効果的だ。
次の雷撃魔術を連発しつつ更に並行して火球を作成し設置、雷撃を途切れさせないように注意しながら火球を作成して設置、と少しずつではあるが対策を進めていく。
こういうものは根気が重要である。
両方同時の対処が難しいならば片方を放置できる状況にしてしまえばいいのだが、そこまで辿り着くのが大変だ。
――焦る気持ちを必死で抑える。
フロッサたちの安否がずっと気になって仕方ないが、焦っても却って時間を無駄にするだけだろう。
無事を信じて手を動かすしかない。
流入してくる魔獣たちの大量撃破を継続しつつ火球の壁を順番に設置していく。
この場合は都市の外壁へのダメージは考慮せず、外壁のすぐ近くにも設置してしまって構わないだろう。ダンジョンの外壁なので簡単に壊れるとも思えない。
西側に10個ほど並べ終わると西側からの侵入圧力が激減した。次は東側に取り掛かる。
火球を回り込む知能のある魔獣は火球の無い正面に行こうとするのだが、残念ながらそこには黒ボストレントが生えている。彼らの協力により西半分からの流入はほとんど遮断できるようになってきた――というのは皮肉が過ぎるか。
東側にも同様に超高温の大きな火球を設置していき壁にする。
頭上からはずっと凄い音がしているものの、西側からの流入が止まったことで今度はかなり順調に壁の設置が進んだ。
あとは散発的に火球の壁の突破に成功した個体が出てくるので、それを適宜撃墜すれば事足りる。
――さて、次はボストレントの攻略だな⋯⋯。
「うおっ!? なんだこりゃ!?」
「暑っつ!?」
植物だからまずは火責めにしてみるかと思案していると、何やら背後が騒がしくなってきた。
他の冒険者が追いついてきたようだ。空を飛べないだろうに素早い対応である。さすがに息は上がっているようだが非常に感心な者たちだ。
「おーい! アンタがコレやったのか!?」
空中から火球の取りこぼしに雷撃を放っていると、音で気付いたのか足元近くまで走り寄ってきて手を振ってくる。そこも結構危ないと思うぞ。
「その通りだ。――暑いから門の内側に入っておいた方がいいぞ!」
少し遠かったので高度を下げる。騒音がひどいので声が届かないのだ。
「そういう問題か!? いや、加勢しようと思うんだがこの状況だとどう動いていいか分からん! どう動いて欲しい!?」
なるほど、それもそうか。
「では討ち漏らしの処理を頼む! 魔獣を都市に入れないでくれ」
「了解! 大人しく見とくわ! おい、門まで下がるぞ!」
正直、門の方をずっと注視しておくのは難しい。
最終防衛ラインを構築してくれるのは非常に助かる。




