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都市の中央広場に戻ってきた。
ギルドの前に対策本部があるとのことだったので見てみると、イベント用の天幕なのか三角屋根の白い天幕4つを2列横隊に並べている。
よく見ると、雰囲気に合わないからか逆向きにしているが、天幕に『デュラム祭り!』と書かれているのが裏面から読み取れる。きっと他に適当なものが無かったのだろう。
見回すと中央の噴水の周囲にある段差のところに冒険者たちが集められている。
――とはいえまだ何の指示も出ていないのだろう、段差に腰掛けて次の号令を待っている様子だ。
「マスター! 中ダンの調査に行ったポンさんが戻ってきました!」
「なに! すぐに来てくれ!」
天幕の下はギルドマスターのトマス氏だけでなく、長机と丸椅子と書類を抱えて走り回るギルド職員、住民や冒険者からの問い合わせに対応するギルド職員とで大変なことになっている。
広場に出るなり走って行った兎獣人が人集りの外から呼びかけると、中からトマス氏の叫び声が聞こえた。
あの中に入って行くのか⋯⋯。
――あと、中央ダンジョンは中ダンと略すのだな。
――結局人が多すぎて入れなかったので上から行った。
何重にも集まっている人々の端の方に行って「通してくださ~い! ひゃあっ!?」とやっていたのを見かねて、腕を掴んで宙に浮き建物と天幕の隙間から天幕内に着地した。
兎獣人の彼女は驚いたのか座り込んでしまったが特に問題ないだろう。
「――待たせたな」
「お見事。早速で悪いが報告を頼む」
トマス氏の方は別に驚いていないようだ。落ち着きのある人物だな。
私は空間収納を開くと紙の束を取り出した。この辺りは魔獣の解体を依頼した際に露見しているはずだ。隠しても意味が無いだろう。
「調査の報告書だ。地図の形にしてある。異常があったのは17階層以降だから――この4枚だな。討伐数を記載しておいた。他の部分は異常無しだったので後で確認してくれ」
「地図の形とは珍しい――精巧すぎないか⋯⋯? いや、それより数だな。17階層が46、18階層が588――19階層が1478⋯⋯!?」
トマス氏の顔色がどんどん悪くなっていく。
しかしふと何かに気付いたのか私の方を見た。
「⋯⋯もしや討伐数と言ったか?」
「討伐数だ。証拠として魔力石を回収してきてあるが――数えるか?」
「⋯⋯いや、ここでは広さが足りないな。これほど精確な地図を提出できるのだ、情報の確度も高いと信じよう――他には何か情報は無いか?」
「大量発生の仕様なのか、15階層のボス部屋のランプが赤点滅しており、扉が常に解放されている状態になっていたな。19階層を殲滅したあと20階層を確認し、帰りに15階層より上のボス部屋も確認したが、いずれも赤点滅状態が終了し通常の状態に戻っていた。恐らく中央ダンジョンの大量発生は収束したと見ていいだろう」
トマス氏は数秒呆気に取られた表情で私を見ると、愉しそうに目尻を下げた。
「⋯⋯これはいい。私の目もまだまだ曇っていなかったようだな」
そして職員たちに指示を出し始める。
「中央ダンジョンの大量発生は解決した! 念のため監視と立入禁止は継続しておけ! 広場の冒険者は全員門に向かわせろ!」
『了解!』
指示を受けた職員たちが更に慌ただしく動き始めた。
――さて、次は私が現状を尋ねる番だな。




