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失くさない内にと戦利品を空間収納に落としつつ振り返る。
獲物はまだまだ居るのだ。
尤も、トップを倒されたことで潰走を始めていなければの話ではある――。
私が中央突破したことで左右に置き去りにされた連中はというと、驚くほど血気盛んに押し寄せてきている。士気の高さに少々面食らってしまった。オーガには仇討ち文化でもあるのだろうか。
余計なことを考えつつ再度雷撃魔術を準備する。
ここで散開されても追いかけるのが面倒なだけなので向かって来てくれるのはむしろありがたい。鬼の形相で迫り来る鬼型魔獣という怖いのか普通なのか感想が難しい顔付きの群れを次々に消し飛ばしていった。
――トップを倒されても士気が落ちないということは、もしかすると指示自体はオーガの王ではなく別方向から来ていたのかも知れないな。
例えばボス部屋の赤点滅ランプのように、大量発生中は特別な状態にあり士気が落ちるような仕様にはなっていないなどが考えられる。
オーガの知能の高さに驚きを覚える場面がいくつかあったが、そもそも作戦をオーガが考えていないと仮定した方が納得感があるのだ。
まぁ何の証拠も無いし証明も難しいので予測の範疇を出ない話ではあるが。
もしもそういう事ならば、大量発生を誘発もしくは主導し、都市に住む人々を蹂躙しようとした犯人が居るということになるわけだ。
非常に許容しがたい思考だが問題はそこではない。
犯人や黒幕が居るのならば、オーガを殲滅したとて終わりではないだろう。
必ずや次の1手が飛んでくるはずだ。
――それこそが都市の外にある子ダンジョンの大量発生なのか、別階層でも大量発生が起こるのか、はたまた1階層に直接発生したりはしないのか、両方か全部か⋯⋯非常に読みづらいところである。
とりあえずはオーガ兵を片付けてギルドに報告するところからだな。
考えるのはトマス氏に相談してからでも遅くないであろう⋯⋯。
見ると考え事をしながら順調に倒せていたらしく、大部屋からオーガ兵の群れは完全に消えていた。――では魔力石の回収と集計作業に入ろう。
空間収納の投入口を床面に開いて魔力石とスキルオーブを落として回る。
後で探知波を打って一括集計できるよう18階層で出た分とは別空間を用意するのがポイントである。むしろ混ざったら引き算せねばならず計算が非常に面倒だ⋯⋯。
19階層でもスキルオーブが多数出現してくれた。感覚としてはトレントダンジョンのボス部屋と同じような頻度で出ていたように思う。
あの時は鑑定スキルばかりで辟易としたものだが――オーガ兵は鑑定スキルという柄ではないのできっと他のものが色々と出ていることだろう。
19階層の地図に魔力石の数を記入して報告書の完成とする。
魔力石とスキルオーブの合計数でないのは、討伐の証明として魔力石を提出する羽目になった場合にスキルオーブの獲得数が露見するのを防ぐためである。
そのせいで中途半端な数になってしまっているが別に問題なかろう。
さて⋯⋯あとは20階層の確認だな。
ボス部屋のランプが赤点滅しているかの確認と、そもそもトマス氏の依頼が『最低でも20階層まで調査』という話だったので19階層で帰るのはあまり良ろしくないのである。




