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「どうだ、自分たちだけで戻れそうか?」
「あ、ああ……回復薬を分けてくれて助かった。ここまで立て直せれば何とかなると思う」
立ち上がった男性――胴体と腰のみ板金鎧を装備している戦士――は、彼がリーダーなのか頭を押さえつつ返事をする。それを見て他のメンバーが明らかにホッとした顔をしているので結構な窮地だったようだ。
「私はポン。ランク7だ。ギルドから定期調査の依頼を受けて深い階層まで探索する予定で動いているところでな、異変があるなら情報が欲しい。情報料は追加の回復薬で支払おう」
そう言って下級を2本、中級を2本取り出してみせる。
男性は一瞬呆気に取られた顔をし、柔らかく笑って頷いた。
「君はお人好しだな……。もちろんそんな事でよければいくらでも。私たちは『お肉大好き』、同じくランク7だ」
んん? 変なパーティー名だな。また翻訳の不具合だろうか……。
だが特に問題は無いので聞き流しておく。きっと肉が好きなのだろう。
「普段は25階層以降に出る金属ゴーレムから金属を得る仕事をやっているんだ。ちなみに青銅と鉄が採れる」
ほう。私が行かなくとも目標階層付近を徘徊している冒険者が居たようだ。
もしやギルドを通さずに商売しているのだろうか?
ギルドマスターが彼らの存在を知っていれば別に私に依頼せずとも目的を達することができたはずである。
――生じた疑問はさておき話の続きを聞く。
「20階層から土で出来たゴーレムが出てくるんだが、その手前。19階層がヤバかった。元々その階層には全身フル装備のオーガが出てくるんだが、数が少ないから普段はほぼ素通りできる。それが19階層いっぱいに詰まっていてな。18階層からの階段を降りた瞬間に殺到されて手痛いダメージを受けたというわけだ。――なんとかここまで逃げてきたがそろそろ限界だった。本当に助かった!」
ふむ。ゴーレムとは何だろう⋯⋯?
土だの金属だのと言っていて金属が採取できるとなると無機物の塊のような魔獣なのだろう。人型と無機物系が交互に出現するような階層仕様なのだろうか。まぁそれは見れば分かりそうなので後回しでいい、まずは異変だ。
「19階層に異変だな? 地上に侵攻しそうな雰囲気はあったか?」
「んんー⋯⋯正直分からないが、既にかなりの数が揃っていたからな。いつ動き始めてもおかしくないと思って必死で逃げてきたところだ。追いかけてきているかの確認までは出来ていない」
それもそうか。生きるか死ぬかの状況では無理もなかろう。
「なるほどな⋯⋯。私の方でも可能な限り調べてみよう。確度の高い情報に感謝する。約束の回復薬だ、気を付けて戻ってくれ」
「⋯⋯本当なら遠慮するところだが、正直余裕が無い。ありがたく受け取らせてもらう。こんなに放出して大丈夫か?」
「実はまだまだ在庫がある。心配は要らない」
「それならいいんだが⋯⋯そっちこそ気を付けてくれ。恩人に死なれては寝覚めが悪い」
無理はしないと回答する私を心配そうにしながら変な名前のパーティーは都市への順路を戻って行った。異変の影響なのか元々なのかオーガ自体の出現数が少ないので、自分で歩けるなら別に問題なく帰れるであろう。
さて――良い手がかりが得られた。
侵攻が始まっているなら18階層なども危険度が上がっているかも知れない。
良い報告書を作るためにも頑張るとしよう。




