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12階層、13階層と進んでいく。
内装が神殿風なので気分転換になってありがたいのだがそれにも慣れてきてしまったな。
一応オーガの居る場所を地図に書き込みつつ進んでいるがどうにも数が少ない気がする。元々の仕様を知らないので体感にはなるが、これまでの階層の半分以下なのだ。
もしかすると血気盛んな冒険者が倒して回っているのかも知れないのでこれを異変と断ずるのは早計だが、気には留めておくべきだな……。
――あと少しで14階層への階段という地点であった。
階段前の狭い空間で戦闘中のパーティーを発見。
別に珍しい光景ではないが、どうもパーティーが半壊しているようだ。
総員で言うと5名居り、倒れている2名を1名が魔法で治癒している。残り2名で3体のオーガを相手にしているため劣勢の様子。戦闘中の2名は両方とも軽装の戦士で明らかに火力不足である。
「やばいやばい! ゴーレム用のハンマーじゃ無理だよ!?」
「うっさい! それで何とかしなきゃ死ぬんだ! 逃げても1人じゃ帰れないだろ!」
振り回される太い腕を掻い潜りオーガにハンマーを叩きつけた若い男性が、筋肉に弾き返されてたたらを踏みながら泣き言を漏らしている。
それを叱咤している快活そうな女性は、自身の持つ片手剣の付けた傷を見つめ、その浅さに苦渋の表情を浮かべていた。
ふむ……。別に手伝っても問題なさそうだな。
私が倒すと魔力石になってしまうので足でも狙おうか。
空中に手早く氷の槍を6本作成し射出。3体の両足を貫く。
バランスを崩して倒れた3体を見て戦闘中の2名は一斉に私の方を向いた。
新手の敵の可能性があるからであろう、いい反応だ。敵意が無いことを示すために手でも振っておくか。
「誰だか知らんがありがてえ! もうこっちのもんだ!」
「これでもくらえ! んんん――もういっちょ!」
形勢逆転。片手剣を持った女性はオーガの首筋に、ハンマーを持った男性は頭部に止めの1撃を叩き込む。ほぼ無抵抗のオーガたちは黒いモヤへ次々と変じていった。
――鮮やかな手並みである。上級冒険者だろうか?
「はぁ、はぁ、――助かったぜ。正直ヤバかった。助かりついでに回復薬持ってねぇか? 仲間の状態があまり良くないみたいなんだ。もちろん金は払う」
女性の方が片手剣を鞘に納め、がっくりと膝に両手をつきながら顔だけ上げて話しかけてきた。全力戦闘直後のため疲労困憊の様子。
その言葉に応じ私は胸元から中級回復薬を3本取り出した。アリシアに100本くらい渡して白い眼で見られた直後ではあるがまだまだ在庫は豊富なのだ。
「中級が3本ある。1本銀貨1枚でどうだ?」
「……そんな『ちょっと割高』くらいの値段でいいのか? もっと足元見ていいんだぜ?」
「親切にどうも。――なに、情報が欲しくてな。心証は大事であろう?」
「そういうことかよ……警戒して損したぜ」
女性はフッと笑って銀貨を3枚取り出すと、私の持つ回復薬と交換し仲間のところに走って行った。倒れている2名と治癒魔法を行使していた1名に迷わず渡しているのを見るに、魔法を使っていた者もかなり消耗していたようだ。
倒れている2名も意識はあるようだが、失血のせいか立ち上がった後もややフラついている。全快とまでは行かないようだ。




