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大森林だけに胴回りの太い樹が多く、縫うように進んでいく。
そんな調子で20分ほど飛び、先ほど反応のあった場所へ到達した。
木々以外特に何もない普通の森の中の風景である。
「この先のはず――むう、誰も居ないな……」
「移動したんじゃない?」
「再度探知してみよう。――ふむ。あっちだ」
反応のあった地点にゆっくり飛んでいくと、見慣れた外套姿――ではなく金髪の男女が森の中を進んでいるのが見えた。
おっと……。もしやお忍びで来ているのでは。
外套姿であれば帝王だとすぐにバレて騒ぎになるので脱いできたのかも知れない。それに例えば外国に無許可で帝王が侵入するのは国際問題になる等であれば、正体を指摘すること自体が良くない等の可能性すらある。
よし、試しに気付かなかった振りをしてみよう。
私が探知で帝王の個体識別が出来ることを彼は知らないはずなのだ。
「――そこの冒険者。迷子ならば大きな道まで案内しようか?」
初対面の振りをするなら合わせてやればいいだろう。
反応を見ると、少し驚いた様子である。
「てい――テオ。どうします?」
「レミリア落ち着いて。僕が対応するよ」
ふむ。声を聞いた感じでは恐らく光帝だな。
いつもフードを被っていたせいで頭部がペタっとしたイメージだったのだが、結構なボリュームの波打つ金髪を後ろで纏めている女性だ。あのフードのどこに収めていたのか不思議である。
2人は小声で少し打ち合わせすると、少年の方が近付いてきた。
「やあ、こんにちは。――近くの冒険者の方ですか?」
「いや、採取依頼でダンジョン都市を目指している者だ。――少人数で森の中を彷徨っている者たちが居たようなのでな。迷子か密猟者のどちらかだろうと思って来てみた次第だ。どうやら密猟者という雰囲気ではなさそうだな」
「いやだなぁ。もちろん違いますよ。ほら、この通り上級冒険者ですので大丈夫です。ご心配ありがとうございます」
少年はそう言って銀色の冒険者カードを取り出してみせた。
まず間違いなく偽造のカードである。
……良いのだろうか。まぁ、法律にもよるか。
「迷子でもないのだな? ならば良い。なに――これから向かうダンジョン都市の周りにダンジョンがたくさんあるらしいのだがな。『あまり密猟者に乱獲されては私の目的に差し支える』ので神経質になっていたようだ。すまんな」
「はっはっは。乱獲とかできちゃう強い人が居たら大変ですねぇ。あっ、僕達の方はお気になさらず、どうぞ先に進まれてください。都市で合った際はよろしくお願いします」
「うむ。そちらも気をつけるといい。ちなみに道はあちらだ」
「ありがとうございます!」
同行して欲しくなさそうだったので日常会話に留めてその場を去ることにした。道から外れてこそこそと何をやっているのやら……。
「すっごい釘を差してたね」
「恐らくアレで伝わったであろう。あまり無茶はしないはずだ」
「だといいなぁ。――やっぱりあの美少年が帝王様なの?」
「いつもフードを被っていたので顔は知らなかったが間違いない。帝王と、女性の方は光帝だ」
「――謎多き迷宮都市に集う最強たち。それは波乱の大事件の静かな幕開けなのであった――!」
「本当にそうなりそうだからやめてくれ……」
「ふひっ。ごめんごめん」
まったく。本当に洒落にならないから困る。
懸念事項として覚えておかねば……。




