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大森林の中を低空飛行で進んでいく。今のところ順調である。
強力な魔獣が多数生息しているという話であったが、それぞれの縄張りというものがあるのだろう。道沿いに生息しているものは適宜討伐されるであろうしそこまで警戒しなくても大丈夫なのかも知れないな――。
後ろを確認するとフロッサは気持ち良さそうに昼寝している。
まぁマットレスに寝転んでいるなら当然そうなるか。
私は時折探知波を放ちながら一応警戒しつつ飛行を続けた。
メンバーに上級冒険者が必要なだけあって道をすれ違う者は居ない。
そうそう頻繁に隊商を組めないのであろう。
――地道に飛行を続けること2時間ほど。
探知波に反応があった。
あまり広い範囲を探知していなかったが初の反応である。
しかし反応の結果が問題だ。
反応は人間2名分、それぞれ大きな魔力量を保持している。
その片方は通常の魔力と時属性の魔力の両方を保持していた。
ううむ……どう考えても帝王だな。
なぜこんな所に居るのか……。
彼の魔力感度を考えるとこちらの探知にも気付いただろう。
それで瞬時に転移して来ないということは隠密行動中なのだろうか?
森の中で何かしているようであるし、それならば気付かなかった振りをしてあげるのが優しさというものだろう。
「ポンさんどうしたの?」
腕を組んで考え込んでいた私に気付いたのかフロッサが問いかけてきた。
マットレスの上でお菓子を食べるのはいいが新品なのであまり粉を落とさないで欲しいところ。
「ああ、いや――森の中に帝王が居るようなのだ」
「おー。世界最強の人?」
「うむ、それだ。――だが特に向こうから接触を図る気配がないので気付かなかったことにしようかと思っている」
「ええー。見てみたいなぁ」
「だが隠密行動中であれば迷惑になるからな……」
「何やってるんだろ? 趣味でダンジョン踏破とか?」
どんな趣味だそれは。
――んん? 全否定するのは早計か。
「いや、あり得るな……。光帝が魔力量の増強を図りたいと言っていたはずだ。それに協力している可能性はある」
「あるんだ。えっ、それマズくない? ダンジョン全部取られないかな?」
いやいや、さすがにそんな極端なことは――。
いや……待て。光帝は確か帝王の花嫁の座にかなりの執着を見せていた。
さすがにダンジョン都市消滅まではいかないであろうが、あの気迫なら周囲の子ダンジョンが全滅するくらいまでは有り得るのではなかろうか……。
「――あるかも知れない。これは少し念押ししておいた方がいいな……」
風属性に干渉して空飛ぶマットレスを一旦停止する。
森の中を進むにはマットレスは大きすぎるだろう。
空間収納から靴を取り出して地面に置き、フロッサが降りたのを確認してからマットレスを回転させてパンパン叩く。お菓子の粉がパラパラと落ちた。
「うっ、ごめんなさい。気を付けます……」
少ししょんぼりしたフロッサを背中に載せ、飛行の魔術を発動させる。
見ると小枝や蜘蛛の巣が至るところにあるので、物理障壁を展開しつつ木々の間を飛ぶことにした。




