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翌日。
買い物という名の観光も満足したのでさっそく大森林へと出発することにした。――目的のある買い物とは有意義なものだな、良い経験になった。
フロッサと連れ立って街の南端へ。
上級冒険者以上でないと立ち入り禁止だけあって、さすがにこちらは警備が厳重である。
弱い者が入った際に魔獣を引き連れて街まで逃げてくる事案が多発したそうで、立ち入る資格があるかどうか厳しくチェックされるのだ。
「――よし、ランク7だな。リステリアからか……」
「この辺りでしか採れないらしくてな。なかなか遠かったぞ」
「だろうな。依頼の成功を祈る」
門番の人のチェックを受け冒険者カードを返却される。上級になるとカードが銀色になるのはこういう時の判別が容易になるからであろう。
私の同行者ということでフロッサも無事認可され門を通れた。
「だいぶ森の手前から道が始まるんだね」
「ここは道というより森から来た魔獣を囲んで仕留めるための場所だな。――見ろ、あそこから矢を射かけられるようになっているぞ」
「ホントだ。……思ったより物騒な場所だった」
まるで森から延びる回廊のように、両側に並べられた丸太の柱で壁が形成されている。
それは低ランク冒険者が道に乱入するのを防ぐためだけではないようだった。機能的だな。
「早速『空飛ぶ絨毯作戦』決行する?」
「昨日打ち合わせしたアレか。……あまり街から見られたくないのでもう少し離れてから出そう」
少し歩いて大森林内の道に入り、更にしばらく歩いてから立ち止まる。道が真っ直ぐではないので街からは見えない位置である。
私は空間収納を開き、ベッドに敷く固めのマットレスを取り出して空中に固定した。
要はこれに乗って移動しようという作戦である。
なぜ絨毯と呼称されているのかは謎だ。
ちなみに布だと乗り心地がフワフワ過ぎて、ある程度体幹が強い人でないと長時間はしんどいそうだ。掴まる場所があるとまた違うのかも知れない。そして板は却下だそうである。
よって厳正なる協議の結果、間を取ってマットレスになったという流れだ。その分テント内のマットレスが1枚減ったのだが、よく考えたらテント内で就寝するのはフロッサだけなので特に問題無かったのである。
フロッサは靴を脱いでマットレスによじ上る。
靴は空間収納内に落としておいた。
私は御者よろしくマットレスの先頭に腰掛ける。
これで準備完了。低空浮遊するマットレスは馬車が行き交える位の広さの道をゆっくりと滑り出した。
道は広いが大森林は樹高も高く、あまり高空を行くと道を見失う可能性が高い。
この道を辿れば中央の都市に到着できるのだから、ここは地表近くを飛ぶのが正解だ。
いかんせんあまり速度は出せないが馬車の数倍くらいまでなら可能である。そしてそれで充分だと判断したわけなのだ。
「思った通り。これは快適……!」
あれだけ寝こけていた割に私の背中で長時間は懲りたそうである。ずっと同じ体勢だと体が固まって痛くなるのだとか。
だからといって少々寛ぎすぎなのではなかろうか。
まぁ、今は出番も無いであろうし。いいか……。
後ろの事は気にしないことに決め、マットレスの操縦に集中することにした。




