1-1
※現在進行系で1ページずつ更新中の作品のため、『1エピソード=1ページ』(第四話までは10ページ分でした)のスタイルに変更します。ページ数が多くなってしまいますが、その分読みやすくなる――はずです! どうぞ引き続きお楽しみください。
――ここはセラムという名の街。セモリナ大森林の北の玄関口と言える街である。
リステリアの王都から南東方向に国を1つ跨ぎつつ半日ほど高速飛行した先で事前情報通り無事発見した。
「私ランク1だけど大丈夫かな?」
私の背中で長時間揺られた割に平気そうな顔をしているのはフロッサである。むしろ寝心地が良かったそうだ。……静かだと思っていたら寝ていたらしい。
「聞いた話ではランク7以上でないと大森林には入れないそうだが、満たない者でもランク7以上の者の付き添いがあれば入れるそうだ。商人などがそれを利用して入っているようだな」
ちなみに街には誰でも入れる。
これだけ聞くと別にランク7まで上げる必要は無いように思えるが、森を出入りするランク7以上の者を発見するのが大変なようだ。
具体的には、予約で埋まっていて同行を依頼するのは実質無理なのだとか。
「じゃあポンさんが居れば私も大丈夫なんだね」
私は頷く。あまり大きい声で言わないでくれ。
フロッサを背中から下ろし門を目指す。
別に1度街に入らないと森に入れないわけではないのだが、森の中を通る道が街の中から始まっているのである。
――特に検査らしい検査もなく門を素通りできた。
学園近くの町のように来る者拒まずのようである。
あちらは田舎すぎるだけだが、こちらは少し事情が違うようだ。
悪人が潜伏しやすい場所には強めの魔獣も生息しており、高ランク冒険者が集まりやすい土地柄なので悪人からは避けられがちだと門番の人が言っていた。
本当に強い悪人なら普通に来るということでもあるわけだな。気を付けておこう。
「ギルド? 宿屋? すぐ森に入る?」
先に門を通ったフロッサがあちこちを眺めている。
初めて訪れる街なので目移りしてしまうようだ。
「いや、森に入るのは明日の朝からにしよう。ギルドには特に用事は無いので、宿を決めてから買い足す物が無いか少し街を見て回ろうか」
「今日は観光ですね了解」
身も蓋も無い言い方をしないように。
あくまで情報収集である。遊びに行くわけではない。
「――ポンさん! これは買いだよ!」
フロッサが屋台の串焼きを齧るなり興奮した様子でそう報告してくる。
先ほどまでは謎肉謎肉と胡散臭そうにしていた割に調子のいいことだ。
せっかくなので焼き上がっている分だけ全部買わせてもらった。他に客は居ないので別に良かろう。
「うーん。ターメリックとクミンがあれば後は何とかなると思うんだけどなぁ……どれだぁ……?」
地域の特産品なのか多種多様な香辛料が売っている店をフロッサが発見した。
何か作りたい料理があるのか色々試しては「苦っ!?」「辛っ!?」などと言っている。舌が子ども仕様なのでダメージが大きいようである。
お試し自体はよくある事らしく店主もニコニコと眺めていたが、購入量が多かったようで驚かれてしまった。
香辛料を樽単位で買うのは多い、と。覚えておこう。
「コメェ……コメェ……」
香辛料の店を出てからというもの、欲しい穀物があるらしく不気味な単語を繰り返しながらフロッサが必死で店舗巡りをしている。
ソウルフードの意味は分からないが要は作りたい料理があるようだ。
話を聞くとイネ科の植物の種子とのこと。
ううむ……断片的だが心当たりが無くもない。
「どこ!? お願い連れて行って!」
おお。必死だな……それほど欲しいのか。
確定情報ではないぞと前置きして転移門を展開、クルーガー領に移動する。
確かここの土壁にイネ科の植物が使われていたはずだ。
穀物問屋を探して店内に入ると、フロッサが商品に勢いよく駆け寄った。
「ああ! 米だ! しかも短粒種! こんな近くにあったなんて……!」
どうやら目的の穀物が見つかったらしい。良かったな。




