4-8
――次の瞬間には、ジールの姿がスケルトンの横に出現しそのまま背後に抜けていった。
木剣を構えてはいたが回避に全力を傾けていたようだ。そこにノイが大きな盾を前面に押し出し体当たりを仕掛ける。
剣を振り下ろした体勢のスケルトンは盾でガッチリと突進を受け止めた。
……彼らは猪狩りしかしていなかったはずだが、なんだか想定より強くなっているような? まぁ、強くなっている分には別にいいか――成長期なのだろう。
後ろで見守る私から見て手前にノイ達後衛3人、右にレン、左にフロッサ、奥にジールと、スケルトンを囲む包囲網が完成した。
ノイがガツンガツンと盾の面をぶつけて注意を引きつつ3名が殴りかかる。
正にタコ殴りである。
スケルトンは恐らく『生命感知』スキルにより敵を認識しているので、1番近い者を優先して攻撃する。この場合は密着しているノイだ。
ノイがスケルトンの攻撃を完封できれば、他の者は武器の長さを活かして安全に攻撃できるという算段である。
少し見ない間にノイは度胸がついたな……。
全身を使って押し込むノイに向かって、スケルトンの片手剣が振り上げられた――そのスケルトンの右腕をフロッサの短剣が激しく打つ。
頭部の骸骨に槍が叩きつけられ、背中の肋骨を木剣が砕く。パティの光球は発動に失敗し、アルは介入する隙を見つけられずおろおろしている。
どうやらスケルトンの攻撃阻害をフロッサが担当し、ノイのサポートを行なっている模様。彼女は同年代に比べて視野が広いので適任である。
ふむふむ、意外と考えられているな。
程なくして更に数箇所を砕かれたスケルトンは黒いモヤとなり消滅した。
後には骨が――んん……? 光る玉が出たな。運のいい子たちだ。
「ぎゃー! ポンさんやばいやばい! スキルオーブが出た! 鑑定して!」
大慌てするフロッサと、『なにこれ光る玉?』という反応の他の子たちが対照的である。自分で鑑定しないということは鑑定できることを秘密にしているのだろう。賢明な判断だ。
フロッサは凄く慌てているが、明らかにスケルトンは必殺技的なスキルを持っていないので、アレは恐らく地味なスキルだ。それこそ『生命感知』辺りではなかろうか……。
「――鑑定。おや、違ったか……『不死化』のスキルだそうだ。死なない体になれるがスケルトンになってしまうらしい」
近付いて鑑定すると『生命感知』ではなく『不死化』というスキルのようだ。カッコが付いているということはスケルトン以外のバージョンが他にもあるのだろう。
「もうそれ罰ゲームじゃん……超イラナイ……」
「一応聞くがスケルトンになってみたい者は居るか?」
「ないない……」
「無理無理……」
子どもたちは揃って首を振る。
念のため聞いたがやはりそうか……。
「私の方で買い取ってもいいが……相場が分からんな。私の手持ちのスキルオーブと物々交換するのが無難か?」
「いいの? 何持ってたっけ?」
「確か5個ほどあったな。忘れたので全部出そう。『怪力』『剛力』『剛力』『生命感知』『成長促進』の5つだ」
「うわ『成長促進』以外は使えるヤツばっかり……」
『成長促進』を改めて鑑定すると、どうやら植物の成長を加速できるスキルのようである。確かに冒険者には向いていないかもな。
毎度お馴染みの会議が始まった。




