4-7
出現した肉を空間収納に放り込み進む。
その後は特に遭遇することなく5階層のボス部屋まで辿り着いた。
「この大きな扉がボス部屋の入口だ。昨日100回ほど戦ったが必ず1体しか出ないというのは本当の話らしい」
「はい! ポンさん質問!」
「なんだ、フロッサ」
「ボスのスケルトンの特徴を分かるだけ教えてください。できれば弱点とか倒し方も!」
「ふむ? そういえば教えていなかったな……。スケルトンは人の全身骨格が軽装鎧を着て、短めの片手剣と小さい盾を持った姿だ。ちなみに全部右利きだった」
幻覚の魔術で手の平の上に小さいスケルトンの映像を作成し回転させる。
先に見せておいた方が動揺が少ないだろう。
「意外と細かいとこ見てるね……」
「お前達を連れて来ようと思っていたからな。しっかり観察しておいたぞ。――話を戻すが、骨だけに切ったり突いたりは効果が薄い。槍も剣も杖も叩くことを意識して振った方がいいだろう。そして弱点は光属性だ。光球を1発当てれば倒せるくらいには光属性に弱い」
「すっごい重要な情報じゃん!? 光球ってパティにも使える?」
「練習すれば使えるのではないか? 『光球』の魔法の詠唱は『ラース・マルス・ウォルド』だ。人に当てると火傷するくらいには熱いので人に向かって練習しないように」
「あっ、そういうの教えてくれるんだ? っていうかメモさせて! らーす?」
「『ラース・マルス・ウォルド』だ。使えるようになれば格段に楽になるであろうな」
フロッサはメモを2枚作成して1枚をパティに渡していた。入手したくなるのは分かるがフロッサが詠唱しても魔力量が足りず起動できないであろう。
しかし本人が嬉しそうであるし、成長次第では絶対に無理とまでは言わないので頑張ってみるといい。
――ボス部屋の大扉を押し開く。
見慣れた骨兵が下ろしていた武具を持ち上げて構えるのが見えた。
ちなみに扉を閉めずに攻撃しても実は倒せるが、何も落とさないし6階層への扉も開かない。恐らく身体能力強化の効果も無いのだろう。
扉を閉めたのを合図にスケルトンが動き出す。
軽装鎧と骨とが当たる金属音を響かせながら、人が歩くのと同じくらいの速さで接近してきた。走っているのを見たことはない。
「では作戦通りやってみろ。危なくなるようなら割って入ってやる」
先頭中央にジール、その左右にレンとフロッサ、ジールの後ろにノイ、更にその後ろにアルとパティ。この数日ずっと組んできた集大成のフォーメーションらしい。
リーダーらしくジールが皆を見回して声がけをした。
「じゃあみんな! 『囲んでタコ殴り作戦』いくぜ!」
『おー!』
……作戦名が少々ストレートすぎる気がするが、魔獣がこちらの言葉を解するとも思えないので特に問題ないだろう。ちなみにタコとはクラーケンに似た軟体動物である。
各自そこそこの間隔を空けつつ1グループのまま小走りで接近する。
全力疾走すると隊列が崩れてしまうとはフロッサの言である。
スケルトンの方ももちろん接近に気付いており、歩きながら片手剣を振り上げた。
――ついに先頭のジールとスケルトンが互いの間合いに入る。
短めの片手剣は一切の躊躇もなく振り下ろされた。




