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おお、速いな――。
通路の先に牛型魔獣を発見したマーガレットは片手剣を抜き走って行って倒してきてくれたのだが、ダンジョンに入った時に比べると目に見えて全体的に機敏な動作だったのである。嬉しそうに肉を拾って戻ってきた。
空間収納の入口を開いてやると、骨を投入し過ぎてもう慣れたのか迷わず肉をポイッと入れる。
「ありがとうございます! 周回の効果すっごい感じました!」
スケルトンとの戦闘はほぼその場で待って殴るだけだったからな。効果を感じる機会が無かったのであろう。
私としても検証結果が良好で非常にありがたい。
他の冒険者が片付けたのか順路にはそれ以降に魔獣が出現することなく都市に戻ることができた。
陽の傾きを見るに今は3時頃だろうか。いい時間だな。
人目の少ない場所に行って大きなただのリュックを作成、空間収納から黒骨鋼42本を取り出しリュックに詰める。そしてマーガレットに渡そうとしたら彼女の力では持ち上がらなかった。
「おっと……。全部換金するならギルドまで私が運んでやるが、どうする?」
「えーと……全部は換金せずに鍛冶屋に頼んで装備も作ってもらいたかったんですけど、それに何本必要なのか分からなくて……」
「ふむ? では先に鍛冶屋だな」
「付き合ってくれるんですか!?」
「まだ早い時間だから大丈夫だ。構わない」
「お、お手数おかけします……!」
背負う振りをして運搬の魔術を発動。こっそりズルをしつつ鍛冶屋に案内してもらった。利用する機会があるかは分からないが把握くらいはしておきたい店である。
すぐ近くに在ったので入って早速職人に相談する。
注文して素材を渡して、という工賃のみのプランだと全身と剣と小盾で金貨2枚だそうだ。
黒骨鋼の必要数は20本もあれば、とのことでマーガレットの懐はというと当然寂しかったようなので金貨2枚は立て替えておいた。
別に黒骨鋼を22本持たせて冒険者ギルドに換金しに行ってもらっても良かったのだが、1往復の時間が無駄だなと感じただけである。
仮に換金額が金貨2枚に足りなかったとしても、不足分は報酬の一部だったということにしてしまえばいい。
採寸と注文を終えてギルドに向かう。
受付カウンターに黒骨鋼を出すと1本銀貨1枚での買い取りであった。見た目の不気味さとは裏腹に意外と人気の素材なのだとか……。
立て替えていた金貨2枚を回収し、銀貨2枚と役目を終えたリュックをマーガレットに渡す。これから先、深い階層に潜るならリュックも必要になるであろう。せっかく作ったので使ってくれ。
ちなみに最後に得た牛肉は私に譲るそうだ。明後日の土産は牛肉に決まりである。
「なんだか最終的に残ったのが銀貨2枚だけだと少なく感じてしまうな……」
「い、いえいえ……! 身体能力の強化だけでなく全身の装備と現金までですから……! むしろもらいすぎだと思います……!」
「そうか? お前が頑張った成果だと思うが……。まぁ、ともかくこれで一区切りだな。色々と教えてくれて助かった。また何かあれば声をかけてくれ」
「はい! 今日はありがとうございました!」
マーガレットは笑顔で一礼すると帰っていった。
私も宿を覗いてフロッサが戻っているか確認し、戻っていないようなら迎えに行ってやるとしよう。
――あっ。上級冒険者への誤解を解くのを忘れていた。
まぁ……彼女は成人しているしそのうち自力で気付くだろう。




