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アーチを潜ると、そこは通路になっていた。
馬車がすれ違えるくらいの幅を持つなかなか広い通路である。
内装は先ほどの広場と変わらないが、こちらは通路だけあって迷宮の雰囲気を醸し出していた。
武器を振り回しやすくていいと思うが、そのような配慮をダンジョンが行なうとも思えないので不思議な内装だな……。
「どちらに向かいます? 3階層への順路は右です」
正面の壁と、その左右に伸びる丁字路を見ながらマーガレットが尋ねてくる。
私は少し考え、回答した。
「――まずは地図を作ろうか。少し待て」
「地図を……?」
私は魔力の物理変換で空中にインクを作成し、そのインクに魔力を浸透させる。
更に空間収納からギルドで貰った紙を1枚取り出し、並行して探知波を放った。
探知波で得られた情報の形にインクを変形させて紙に投射、即席の地図を作成する。
おっと、インクの粘度が足りなかったようで結構滲んでしまった。
まぁ……これくらいなら読み取ってもらえるだろう。
「ええ……上級冒険者すごい……」
また上級冒険者の評価が大変なことになっているな。後でまとめて訂正しておこう。
「この地図を見ながら魔獣の巣のような場所が思い当たれば案内してくれ。異常が無いか調査しながら次の階層に向かう」
「あっはい。分かりました」
作成した地図を手に先行するマーガレットを追い歩き始めた。まずは左に向かうようである。
――2階層に出現する魔獣はタウロスと牛であった。どちらも肉を落とすらしいのだがどう違うのだろうか。
マーガレットは肉ではなく魔力石と化す魔獣を見て驚き、私が魔力石しか得られないと聞いて驚き、と驚いてばかりである。それでは稼げないでしょうにと同情されてしまった。
実際はそんなこと無いのだが、そこまでは別に言わなくていいだろう。
地図を片手に攻略する迷路というのも味気ないもので、案内された『よく魔獣を見かける地点』を回ってみたが特に異常も見られなかったので3階層へ向かう。
地図は確認した地点に丸をつけ、討伐した数を書き込んで御役御免である。これをこのまま報告書として提出する形で問題ないだろう。
3階層も同様に迷宮仕様のようだ。魔王城とは違って階層数が非常に多いダンジョンであるせいか似たような階層がしばらく続くのかも知れない。
「4階層と5階層も同じか?」
「4階層も迷宮型です。5階層にはボス部屋しかありません」
早速3階層の地図を作りながら尋ねるとそんな答えが返ってきた。
――ということは、最初のボス部屋まで3階層分しかダンジョンが存在しないらしい。そう考えると大したことが無さそうだが、階層1つが結構広いので実はそれなりのボリュームがある。
簡単に進んでいるのは案内と地図があるからだな。
とはいえ浅い階層をあまり細かく調査する意義は無いだろう。中級冒険者が日常的に通過しているからである。
その分の労力を深い階層の調査に注力した方が有意義であろうな。
今度はインクの粘度の調整に成功した地図をマーガレットに渡し、3階層の案内を促した。




