3-10
次の日はまずフロッサを肉ダンジョンに連れて行く。他の子たちと合流したのを見届けて送り出した。鞄の中に昼食を始め色々と詰めておいたので、あとは自分たちで伸び伸びとやるだろう。
踵を返して都市に戻る。
城壁内に入るとそのまま直進し中心部へ向かった。
――この都市は面白いことに普通の街と逆であることが多い。
例えば繁華街の位置である。
普通の街なら門から入って少し入り込んだ辺りが栄えているものだ。
しかしこの都市だと門や中央から離れた場所というのは安全に住める地域のようで、主に住宅地として優先使用されているようだ。
そのためこの都市の繁華街は妙に門の周辺に集中しているというわけである。
他にも正門から1番遠い奥の地域は通常高級住宅街やら城やらになっているものだが、逆側に出口の無いこの都市に於いてはむしろ貧民街が形成されている。
有事の際に確実に逃げ遅れる地域ともなると、誰もあまり住みたがらないようだ。
ちなみに国家運営を行なう施設は中央付近に存在する。安全面で見ると不思議な立地だが、他に良い建物が無かったらしい。
――しばらく歩くと中央広場に到着した。
2階層への入口がここにある。
広場の中央には下へ向かう階段ではなくむしろ何段も高くなった高台の上に、透き通った水を噴き出し続ける大規模な噴水が存在している。
これは循環式ではなく常に新しい水が供給され続けているそうで、景観の為の噴水と言うより水源と呼ぶのが正しい。
水は噴水の端に吸い込まれ上水道として地面の下へと潜っていく構造になっている。
あの高台は水圧を維持する役割もあるのだろう。
噴水を横目に見ながら広場の奥へ。
奥から伸びる道がちょうど広場で合流する地点。
そこに大きな神殿のような施設が見えている。
神殿といっても申し訳程度の屋根が付いた林立する柱の群れのような建物だ。ただし柱に施された細かな意匠たちが、その場所が特別であると声高に喧伝している。
それもそのはず。
綺麗に2列に並んだ柱の間は下りの階段となっているのだ。それは2階層への入口のはずであるのに、まるでここがダンジョンの入口かのような自己主張具合である。
しかしそれもあながち間違ってはいないのだろう。
1階層目が明らかに人を呼び込むための空間であり魔獣も出現しないのだ。2階層からが本番なのだと警告してくれているに違いない。
周囲を観察すると、比較的重装備の冒険者が多いように感じる。
つまり中央ダンジョンは肉ダンジョンなどとは違い本格的な難易度だという事であろう。
何十人も同時に通れそうな横幅の階段を降りつつ周囲の観察を続けた。
最初の階層にはフロッサが宿の食堂で食べていた肉を落とす魔獣が居るはずである。競争率も高いであろうし大量に倒すのは難しいかも知れないな……。
最初の内は欲張らず調査に専念した方が効率が良さそうだ。
――直近の行動方針を固め、私は2階層へと足を踏み入れた。




